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既婚者の彼、別れ話に逆ギレ「プレゼントを返せ」「妻から慰謝料請求してやる」
画像はイメージです(peach/PIXTA)

既婚者の彼、別れ話に逆ギレ「プレゼントを返せ」「妻から慰謝料請求してやる」

不倫関係を清算しようとしたら、相手男性から「プレゼントを返せ」「妻から慰謝料請求してやる」「詐欺で訴える」と言われて困っているーー。そんな相談が、弁護士ドットコムに寄せられました。

女性は、既婚者の男性と2カ月、交際しました。女性が別れを切り出すと「弁護士に依頼する」として、上記のような要求をしてきたそうです。ただ「プレゼントや金銭はこちらが要求したものではありません。勝手に渡してきたものです」といいます。

相手の要求に応じなければいけないのでしょうか。山岸陽平弁護士に聞きました。

●「プレゼントを返す必要はない」

ーープレゼントを返す必要はあるのでしょうか

「プレゼントとは物品の贈与であり、『別れたときには返す』という約束を伴っていないのが通常です。そのため、求めたり、条件をつけたりせずにもらったプレゼントを返す義務はないといえるでしょう。

一方で、重要な点について嘘をつき、プレゼントをもらったような場合は、嘘によってそのプレゼントを贈らせたといえる可能性も出てきます。しかし、その嘘に起因してプレゼントが贈られたという、明白な因果関係が必要だと思われます。

ずっと不倫交際を継続しようと誓い合っていたが、一方の気が変わって別れることになった、という事情だけでは、交際中のプレゼントについて、詐欺罪に問われるようなことも考えがたいです」

●妻からの慰謝料請求は避けられない

ーー慰謝料請求については、どうでしょうか

「男性の妻が、不貞相手である相談者に慰謝料請求をした場合、現在の最高裁判所判例をもとにすれば、離婚に至らなくても、不法行為による慰謝料請求が認められることになります。

ただ、男性が『妻に言って、妻から慰謝料を請求させる』という言動を取っていた経緯がある場合、妻は本来主たる責任を負うはずの男性の責任を追及せず、むしろ男性の勧めに応じて不貞相手女性への請求をしたことになるので、妻の精神的損害を小さく見積もる事情になると思われます。

なお、不貞相手への慰謝料請求を認めるべきでないとする学説も根強くあり、今後裁判所の判断の変化には注意したいところです」

(弁護士ドットコムニュース)

プロフィール

山岸 陽平
山岸 陽平(やまぎし ようへい)弁護士 金沢法律事務所
金沢弁護士会所属。2020年度金沢弁護士会副会長。富山県出身。京都大学法学部卒・京都大学法科大学院修了。地元石川県を中心として、相続、離婚、中小企業法務、インターネット関係のトラブルなど、身近な法律問題に粘り強く取り組んでいる。

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