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交際クラブで愛人契約 「不倫じゃないから慰謝料払わない」は通用する?
写真はイメージです(photomai / PIXTA)

交際クラブで愛人契約 「不倫じゃないから慰謝料払わない」は通用する?

彼との関係は不倫ではなく、売春や風俗の延長としてとらえています。それでも、妻に慰謝料を支払わなければいけないのでしょうかーー。妻子もちの男性と愛人契約をしたという女性から、弁護士ドットコムに相談が寄せられました。

相談者によると、「学費を稼ぐため」に登録した交際クラブで男性と知り合ったそうです。

「援助してもらうことのみが目的。恋愛感情にもとづく不倫ではありません」と相談者はいいます。男性の妻に慰謝料を請求された場合、相談者は支払わなければいけないのでしょうか。澤藤亮介弁護士に聞きました。

●原則的に「不法行為は成立」

ーー相談者は慰謝料を払わなければならないのでしょうか

「相談者が男性の妻に対して慰謝料を支払う義務があるか否かは、不貞行為を原因とする不法行為(民法709条・710条)が成立するかによります。

相談者は男性が既婚と知りながら性交渉を含む交際をしているため、原則として不法行為は成立するものと考えられます。しかし、今回は愛人契約の存在があるため、それが不法行為成立の妨げとなるかがまず問題となるかと思われます」

●「不法行為にならない」という主張はむずかしい

ーーかつて、クラブのママが枕営業をすることは不法行為にあたらない、という判決がありました。同じように、愛人契約があれば不法行為は成立しないといえるのでしょうか

「たしかに、いわゆる枕営業判決(東京地裁平成26年4月14日)では、クラブのママが枕営業の範囲内で持った性交渉については、売春と同じようになんら婚姻共同生活の平和を害するものではなく、妻に対する不法行為は構成しないと判示しました。

もっとも、この事件は地裁レベルで判決が確定しています。そのため、最高裁判決や高裁判決とはちがい、一地方裁判所がくだした判決に過ぎません。

また、個人的な愛人契約とクラブ従業員の枕営業がまったく同じといえるかも見解が分かれるところでしょう。さらに、愛人契約の存在が一般的に不貞行為を原因とする不法行為成立の妨げとなるのであれば、愛人契約を形式的におこなうだけで、すべての不貞行為にもとづく不法行為が成立しなくなるということにもなりかねません。

愛人契約が不法行為にならないという主張が認められることは、枕営業のケース以上にむずかしいのではと考えられます」

●「恋愛感情はない」理由の慰謝料減額はむずかしい

ーー不法行為が認められ、相談者が慰謝料を請求された場合、「学費を稼ぐため」「恋愛感情はない」ことを理由に慰謝料を減額することはできるのでしょうか

「被害者である男性の妻からすれば、加害者である相談者の内心にかかわらず、性交渉をともなう交際によって、夫婦共同生活の平穏を害されたことによる精神的苦痛の程度は変わらないと考えられます。

そのため、減額理由として認められないか、仮に認められるとしても微々たるものとなるでしょう」

(弁護士ドットコムニュース)

この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいています。

プロフィール

澤藤 亮介
澤藤 亮介(さわふじ りょうすけ)弁護士 向陽法律事務所
東京弁護士会所属。2003年弁護士登録。2010年に新宿(東京)キーウェスト法律事務所を設立後、離婚、男女問題、相続などを中心に取り扱い、2024年2月から現在の法律事務所でパートナー弁護士として勤務。自身がApple製品全般を好きなこともあり、ITをフル活用し業務の効率化を図っている。日経BP社『iPadで行こう!』などにも寄稿。ご相談のご予約は、web上のカレンダーで空き状況をご確認いただきつつweb上で完結することができます。

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