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カラオケ個室にナンパ目的で勝手に入ってくる男性…犯罪じゃないの?
画像はイメージです(Fast&Slow / PIXTA)

カラオケ個室にナンパ目的で勝手に入ってくる男性…犯罪じゃないの?

街を歩いていたら、突然知らない異性から話しかけられる「ナンパ行為」を受けたことはありませんか。無視してもしつこくつきまとわれると怖いですが、中にはカラオケ個室の中に入ってくるといったナンパ行為もあるようです。

弁護士ドットコムには、「知り合いの女性がカラオケナンパされた」という相談が寄せられていました。女性が女友達と2人で歌っていたところ、突然20代の男性2人が部屋に入ってきて、30分ほど勝手に歌い1000円渡して出ていったそうです。

ツイッターでも「カラオケとかいう個室に勝手に入ってくる男なんなん?」「カラオケでナンパを試みる輩ってまじでいるんだよな」「ナンパ目的で勝手にドア開けて入ってくる糞みたいな男がたまにいる」などといったつぶやきがありました。中には女性1人であることを一度確認して、再度入ってくる男性もいるといった声も。

カラオケでナンパ目的で勝手に入ってくる男性の行為は、違法にならないのでしょうか。大久保誠弁護士に聞きました。

●住居侵入罪の可能性も

ーーナンパ目的カラオケに勝手に入ってくる行為は、違法にならないのでしょうか

「犯罪として成立の可能性があるのは住居侵入罪(刑法130条)です」

ーーカラオケ個室も住居なのですか

「住居侵入罪は、正当な理由がないのに、他人の住居や他人の看守している建造物などに侵入した時に成立します。

『住居』とは、日常生活のために人が占拠する場所であり、人が起きたり寝たり日常的にに使用される場所であることが必要とされています。ただ、個人の生活が起臥(きが)寝食だけに限られない以上、それ以外の用途に使われる店舗や事務室なども場合によっては住居とみられます。

過去には郵便局の事務室に局長が制止したのにも関わらず労働組合の役員が立ち入りを強行した時に、住居侵入罪が成立するとしたケースもあります(最高裁昭和42年2月7日判決)。

そして、建造物の中の一区画も住居となりえます。こうしてみるとカラオケボックスの個室は住居と言いうるでしょう」

ーー鍵などがかけられないカラオケ個室へ入るのも「侵入」にあたりますか

「『侵入』とは、周囲の状況から考えて居住者等らの意思に反する形態で目的物の内部に立ち入ることをいいます。

カラオケの個室は、個室のもともとの利用者及びその利用者が認める者のみが使用することが通常は予定されています。ですので、個室利用者とは全く関係のない者がナンパ目的で入ってくることは『侵入』に該当する可能性が高いといえるでしょう。法定刑は3年以下の懲役または10万円以下の罰金です。

仮に住居侵入罪が成立しないとしても、ナンパ目的での言動が『著しく粗野または乱暴な言動で迷惑をかける』ようであれば、軽犯罪法第1条5号に該当します。法定刑は拘留または科料です」

(弁護士ドットコムニュース)

プロフィール

大久保 誠
大久保 誠(おおくぼ まこと)弁護士 大久保法律事務所
ホームページのトップページに写真を掲載しているように、野球が趣味です。

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