SNSで度々、話題になるのが、「オタク活動を許してくれない妻」の話。都内に住むある会社員の男性は、結婚前はオタク活動にも理解があるそぶりをみせていた妻が、結婚後に豹変し、一切許してくれなくなったと嘆きます。
集めた美少女フィギュアは「インテリアに合わないし、置く場所がない」と言われ、これまで何十万円もつぎ込んで買い集めた同人誌も「将来、子どもができた時に悪影響がある」などという理由で、すべて捨てられたといいます。せめて、「コミケやオフ会に参加したい」と言っても、「結婚したのだから少しは落ち着いてほしい」と嫌な顔をされるそうです。
男性は「オタク活動を許してくれない妻と離婚したい。できれば、これまで捨てられたフィギュアや同人誌の費用を損害賠償請求したい」と本気で考え始めました。自分の趣味や遊興を止められたという理由で、離婚できるのでしょうか。橘里香弁護士に聞きました。
●制限が道徳に反した嫌がらせになれば、モラハラにあたる可能性も
まず、夫のオタク活動を制限することは、モラハラもしくはDVにあたる可能性はありますか。男性は離婚を考えているそうです。
「モラハラにあたる可能性はありますが、その具体的発言や程度によります。
趣味を控えて欲しいと制限してくること自体が、直ちにモラハラに該当する訳ではありません。家族との時間や家族への配慮も大切であり、複数の人間が家族として一緒に暮らしていく以上、互いへの配慮は必要です。
ただ、制限の求め方、具体的言い方や対応が倫理や道徳に反した嫌がらせに当たるような程度に至る場合には、いわゆるモラハラとして離婚理由となり得ます。離婚理由となるには、婚姻関係の継続を不可能にするような程度の異常な非難や侮辱、強要ということが必要ですので、単発的発言では難しく、そのような対応が継続的に繰り返されていることが必要です。
また、大切なのは、その言い方や制限の度合いですので、具体的な発言や対応を証拠として記録しておくことが大切です」
この夫が離婚できたとして、その際に妻に対して、夫が所有していたコレクションの損害賠償請求はできますか?
「それだけで離婚理由となり得るかは程度にもよりますが、損害賠償請求が認められる可能性はあります。夫婦といえども相手の財産を無断で処分することは相手の財産権の侵害ですのでやめましょう」