「俺の金」「専業主婦に小遣いはいらない」妻を金の亡者と決めつける夫
写真はイメージです(ふじよ/PIXTA)

「俺の金」「専業主婦に小遣いはいらない」妻を金の亡者と決めつける夫

「俺の金だから」と夫は給与明細や預金通帳をまったく見せてくれないーー。こんな専業主婦からの悩みが、弁護士ドットコムの法律相談コーナーに寄せられています。

相談者の家庭では、夫がすべての金の管理をしています。ただ、夫は必要最低限の生活費は渡すものの、給与明細や預金通帳を絶対に見せないそうです。そのため、相談者は夫の収入や貯蓄を知ることができません。

夫の給与明細や貯蓄を知る権利は妻にもあるのでしょうか。法的な解決方法はあるのでしょうか。近藤美香弁護士に聞きました。

●妻に夫の給与明細や貯蓄を知る権利はない

そもそも、夫の給与明細や貯蓄を知る権利は妻にあるのでしょうか。

「その『夫の給与明細や貯蓄を知る権利』の中身にもよりますが、『拒否する夫に裁判所の力を借りて強制的に見せてもらう権利』というものはありません」

とすると、法的に、夫に給与明細や預金通帳を開示させることは難しいのですね。

「そうです。『夫婦だから給与明細や預金通帳を見せなければいけない』という理由はないのです(見せないことが原因で離婚問題になることもあるでしょうが、それは別問題です)。

ただ、夫の収入をどうしても知りたければ、妻が夫と同居しているのであれば、役所に行って課税証明書を取得する方法があります(ただし、委任状が必要な自治体もあります)。給与明細を見せてくれなくても、夫の収入額を知ることはできるわけです」

●妻が離婚を考えている場合、知ることができる場合も

相談者は、この件を理由に離婚することも考えているようです。もし、離婚を検討している場合、夫の収入や貯蓄を知ることはできるのでしょうか。

「離婚を前提とする場合は事情が変わります。例えば、離婚調停や離婚訴訟では、裁判所の調査嘱託という手続きを利用して、裁判所から預金残高などを照会してもらうことが可能な場合があります。

もっとも、調査嘱託をしてほしいと申し出ても、実際に行うかどうかは裁判所の判断次第ですし、照会先がそれに応じる保証まではありません。ただし、調査嘱託を申し出た時点で、調停委員が相手を強く説得して開示させてくれることもあります。

また、養育費や婚姻費用を決める際には、夫に対して源泉徴収票や給与明細の開示を求めるのが一般的です。夫も、調査嘱託で裁判所から勤務先に照会されるよりは・・・と自ら開示するのが一般的です」

預金残高の開示を求めるにあたり、必要なことや注意すべきことはあるのでしょうか。

「特に給与振込口座以外の貯金残高の開示を求める場合は、どこの銀行の何支店の口座に預金があるかについてはきちんと把握しておく必要があります。もし、夫との離婚を検討しているような場合は、夫あての銀行・証券会社・保険会社からの通知などをチェックするなどして調査嘱託に備えておくことをお勧めします」

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