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初婚→バツ3、定職あり→無職 「夫の経歴」が全て嘘だった 詐欺罪に当たるのか?
画像はイメージです(Ushico / PIXTA)

初婚→バツ3、定職あり→無職 「夫の経歴」が全て嘘だった 詐欺罪に当たるのか?

結婚して半年後、夫の嘘が次々に明らかとなり、茫然自失となった女性が、弁護士ドットコムに相談を寄せました。

相談者は結婚してから半年後、夫の持ちマンションに引越しすることになりました。しかし引越し当日、夫と連絡が取れなくなったため、夫の実家に行きました。

すると、夫の父親から衝撃の真実が語られました。「夫は定職についていなく、持ちマンションもありません。戸籍も出鱈目で、初婚ではなくバツ3だったのです」と言います。

相談者は交際中、結婚後も、何度も夫にお金を貸していましたが、もちろん返済はされていません。相談者は離婚して貸していたお金の返済を請求することはできるでしょうか。木下貴子弁護士に聞きました。

●「詐欺罪」にあたるのか?

ーー婚姻歴や無職であることを隠していた相談者の夫の行為は、相談者への詐欺罪に当たりますか。

「詐欺罪」となるには「人を欺いて」「財物を交付させた」または「財産上不法の利益を得た」ということが必要です。

この点、婚姻歴があるのにない等と虚偽の事実を言ったとすれば、「欺い」て結婚したことにはなり得ますが、これによって相談者にお金などの財物を渡させたり、財産上の利益を得たりした、という直接的な因果関係を認めるのは難しいです。

そのため、「詐欺罪」には該当しないと考えられます。

ーー刑事上の責任はなくても、法的な離婚理由や慰謝料の請求理由となるのでしょうか

相談者に尋ねられたことに対して虚偽の事実を言って婚姻したとすれば、相手の言動について信頼がなくなり、婚姻を継続することは難しいでしょう。

マンションの所持に関する嘘や貸金の返済への不誠実な対応もあわせると、これらが立証できれば、離婚理由(民法770条1項5号)として認められる可能性はあるでしょう。精神的な苦痛も生じますから、慰謝料の請求理由ともなり得るでしょう。

ーー相談者が結婚前、結婚後に貸していたお金や慰謝料を請求することはできますか 

貸金であるならば、返済を請求することが出来ます。しかし親しい関係では証拠がないことも多く、裁判になると、相手が否定すれば請求が認められないことはあります。

プロフィール

木下 貴子
木下 貴子(きのした たかこ)弁護士 多治見ききょう法律事務所
離婚・親権・養育費の分野で1000件以上の案件を扱う。「離婚後の親子関係の援助について」「養育費」をテーマに講演。離婚調停での「話し方」アドバイスブックはこれまでに2万人以上が利用している。著書「離婚調停は話し方で変わる」「離婚回避・夫婦関係修復につなげる話し方の技術」がAmazon法律部門他ランキング第1位獲得。

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