「妻と義妹の仲が異常に良すぎて、離婚も考えている」。義妹との関係に悩む男性からの相談が、弁護士ドットコムに寄せられています。
男性の妻には、とても仲の良い妹がいます。妻が妊娠してから3カ月間も居候していた義妹。妻は「家族なんだから」と聞く耳を持ちませんでしたが、男性の説得によりなんとか引っ越してもらいました。
その後、義妹の転勤により「居候問題」は解決しましたが、義妹が仕事を辞め戻ってきたことで、再び相談者の家に入り浸るようになりました。
義妹は妻に向かって「なんか飯ある?」と言ったり勝手に冷蔵庫をあさったり…。男性は耐えかねて、ついに妻と義妹を叱りつけてしまったそうです。
その後、妻との間に溝ができてしまった男性。離婚も考え始めていますが、義妹との不仲が原因で離婚することは可能なのでしょうか。浅野格之紳弁護士に聞きました。
●離婚できるかは「妻の対応次第」
——義家族との付き合いはなかなか難しいものですが、これだけで離婚はできますか?
いくら義理の妹とはいえ、ここまで図々しいと一言言いたくもなりますよね。実際に親族との不仲を理由とするご相談は数多くあります。
結論から申し上げると、ご相談にあるような義妹との不仲だけでは離婚することは難しく、義妹の行動についての妻の対応次第で離婚ができる場合がある、という回答になります。
——なぜ不和だけでは難しいのでしょうか?
民法に定められている離婚原因の一つに「婚姻を継続し難い重大な事由」があります。離婚は夫婦間のことですので、親族との不和が生じていても、婚姻関係に影響が出ていないような場合には「婚姻を継続し難い重大な事由」は認められません。
もっとも、親族との不和が原因となって婚姻関係に影響が生じ、「婚姻を継続し難い重大な事由」が認められる場合には、離婚ができる可能性はあります。
——今回のケースでは、どう考えられますか。
義妹との不仲により妻との間に溝ができてしまったとのことですが、妻が義妹との不仲についてどのように対応したのかによって、結論は変わってくるでしょう。
例えば、夫と義妹とが不仲であったとしても、妻が夫と義妹との間に入り、両者の関係性を改善しようとしていたような事情があれば、義妹との不仲という理由だけで離婚は認められないと思います。
一方、夫が義妹の言動に耐えかねている状況を妻も知っているにもかかわらず、義妹を好き勝手させた挙げ句、夫が義妹の不満を言おうものならば義妹と一緒になって夫を非難することを繰り返していたようなケースであれば、義妹との不仲と妻の夫に対する言動とが相まって「婚姻関係を継続し難い重大な事由」が認められる可能性はあると思います。