「離婚できたら一緒になろう」は、不倫男の常套句のひとつ。
そんな言葉を真に受けて、妊娠までしてしまった33歳の女性ですが、不倫相手の妻はそのことを知って自殺未遂。慌てた不倫相手から別れを切り出されます。そして、中絶と退職を余儀なくされた挙句、妻からは「慰謝料300万円」を請求されてしまいます。
女性自身にも問題があったとはいえ、支払う義務はあるのか。柳原桑子弁護士の解説をお届けします。
Q. 中絶、退職しても「不倫相手の妻」に「慰謝料300万円」を支払わないとダメ?
取引先の男性と不倫していました。
彼は、妻とは別居していると言い、私が妊娠したときも「認知と養育費は責任とりたい」「離婚できたら一緒になってくれ」と言っていました。
しかし、私たちのことを知った奥さんが自殺を図ろうとしてから、彼の態度がひょう変。
「本当に死ぬかもしれないから中絶してくれ」と懇願され仕方なく中絶しました。
さらには職場に不倫がばれて、私は退職に追い込まれ、あげく、今、彼の妻から慰謝料300万円を請求されています。
もちろん、彼と奥さんは離婚をしていません。私自身にも責任はあると思っています。慰謝料も払う気が全くないわけではありません。
ですが、中絶し、退職までして私自身も深く傷ついています。慰謝料300万円というのは高すぎる金額ではないでしょうか?
A. 減額される可能性が高い
今回の例では、減額される可能性が高いでしょう。
慰謝料とは、不法行為の被害者が受けた精神的苦痛を金銭で賠償するものです。
裁判例では、不倫の慰謝料は数十万~数百万の範囲で決まることが多いです。
金額は、婚姻期間の長短や婚姻生活の状況(円満か不仲か等)、不倫期間、性交渉の頻度、妊娠の有無、婚姻関係を破綻させたか否かなど、個別事情が考慮されて決まります。
今回のケースでは、妊娠したものの、中絶し、さらには職場も退職し社会的制裁を受けたといえます。
また、男性と妻は離婚しておらず、婚姻関係の破綻には至らなかったようですので、これらの事情は、300万円という慰謝料を減額する要素になり得ると思います。
(弁護士ドットコムライフ)