親権争いで母親が負ける場合とは?判断基準と専業主婦のケース

「母親は親権に有利と聞くけれど、収入のない専業主婦でも取れる?」「相手が絶対に譲らない場合はどうなる?」と不安に思っていませんか?

本記事では、親権争いで母親が負けるケースや、2026年施行の共同親権を踏まえた最新の判断基準を解説。不利に思える状況から親権を獲得するための対策も紹介します。

目次

  1. 親権争いで母親が負ける(親権が取れない)5つのケース
  2. 【2026年改正法施行】共同親権の導入で「親権争い」はどう変わった?
  3. 「専業主婦」や「有責」でも親権争いで負けるとは限らない
  4. そもそも親権は何で決まる?裁判所が重視する主な判断基準
  5. 母親が親権獲得を有利に進めるためのポイントと注意点
  6. 共同親権施行後だからこその親権争いにおける注意点
  7. 親権問題でお悩みの方は一度、弁護士へ相談を
  8. よくある質問(FAQ)

親権争いで母親が負ける(親権が取れない)5つのケース

親権争いで母親が負けるケースを示した図 2024年(令和6年)の民法改正により離婚後の共同親権が導入されましたが、双方が単独親権を求めて譲らない場合など、裁判所がどちらか一方を親権者(単独親権者)として指定せざるを得ない場面もあります。 原則として母親が有利とされることが多い親権争いですが、以下のような個別の事情がある場合、母親側が認められない(負ける)ケースがあります。

1. 子どもへの身体的・心理的な虐待やネグレクト(育児放棄)がある

母親からの子どもに対する身体的な暴力や暴言などの心理的虐待、育児放棄(ネグレクト)がある場合、親権が認められる可能性は極めて低くなります。 裁判所は「子どもの福祉(子どもの利益や健全な成長)」を最優先に考えるため、親としての適格性が根本から問われる行為は厳しく判断されます。

2. 重篤な精神疾患などで物理的に育児が難しい

母親が重篤な精神疾患や体調不良を抱えており、物理的に子どもを育てる(監護する)ことが難しい状態にある場合も、親権の獲得は難しくなるケースがあります。 ただし、ここで重視されるのは「子育てが不可能なほどの重症であるか」という点です。軽度のうつ病や適応障害などで通院している程度であれば、それだけで直ちに親権を拒否されることは原則としてありません。 例えば、感情のコントロールが著しく困難で子どもに危険が及ぶ恐れがあるケースや、自傷行為を繰り返して育児が完全に放棄されているケースなどでは、監護能力が不十分とみなされる可能性があります。

3. 父親が主に育児を担っており、母親の監護実績が乏しい

「母親が育児をするもの」という母性優先の原則は、近年の裁判実務では絶対的なものではなくなっています。共働き世帯の増加に伴い、父親が仕事を調整して主たる監護者として育児全般を担ってきたような場合、これまでの「監護実績(育児への関わり度合い)」が評価され、父親に親権が認められることがあります。 特に、母親が仕事やその他の事情で家を空けることが多く、子どもの食事、送迎、宿題の確認などを父親がメインで行ってきた実態がある場合は、母親側の監護実績の乏しさが不利な要素となる可能性があります。

4.子ども本人が「父親と暮らしたい」と強く希望している(おおむね10歳以上)

子どもがある程度の年齢(おおむね10歳以上が目安)になると、裁判所は子ども本人の意思を重要な判断基準として尊重するようになります。 子どもが自分の意思で「お父さんと一緒に暮らしたい」と強く希望している場合は、母親にとって不利な状況になり得ます。 ただし、父親からの無理な働きかけ(買収や母親の悪口の吹き込みなど)や、一時的な感情による意思表示である疑いがある場合は、その背景も慎重に調査されます。 家庭裁判所調査官(裁判所の専門調査員)による面接などを通じて子どもの真意が確認されるため、日常の監護実績がしっかりしていれば、子どもの一時的な発言だけで直ちに親権を失うわけではありません。

5. すでに子どもが「父親と一緒に暮らしている(別居時の状況)」

親権争いにおいて、実務上、注意しなければならないのが、すでに子どもが父親と一緒に暮らしている(父親のもとで安定した生活を送っている)状況です。 裁判所は、現在の安定した子どもの生活環境を急激に変えることは子どもの大きなストレスになるという「継続性の原則」を重視する傾向にあります。 そのため、たとえ過去の主たる監護者が母親であったとしても、別居後に子どもが父親のもとで数ヶ月〜数年間にわたり安定して暮らしている実態がある場合、その現状を維持することが子どものためになると判断されやすくなります。 もし、配偶者が一方的に子どもを連れ去って別居を始めた経緯があったとしても、時間が経つほど「現在の環境」が固定化されて母親側が不利になる恐れがあります。 その場合は直ちに弁護士に相談し、家庭裁判所へ「子の引き渡しの保全処分」や「監護者指定の調停」を申し立てるなど、迅速な初動対応が必要となります。

【2026年改正法施行】共同親権の導入で「親権争い」はどう変わった?

民法改正により、離婚後も父母双方が親権を持つ「共同親権」の制度が施行されました。これに伴い、離婚時の親権をめぐる手続きや裁判所の判断基準はどうなるのか? これからの親権選びについて、大切なポイントを整理しておきましょう。

裁判で「共同親権」が選ばれるケースと家裁の判断

新制度の施行により、離婚する際にはまず、父母の話し合い(協議)によって共同親権か単独親権かを選べるようになりました。 もし話し合いがまとまらずに家庭裁判所の調停や裁判に進んだ場合、裁判所は「子どもの利益(健全な成長や福祉)のためになるか」を最も重視して、共同親権にすべきか単独親権にすべきかを総合的に判断します。 そのため、どちらか一方が単独親権を強く主張していても、裁判所の判断によって父母双方を親権者(共同親権)と定めるケースは法的にはあり得るようになりました。 共同親権の具体的な仕組みや、単独親権との違い、養育費などへの影響については、以下の記事で分かりやすく解説しています。 ▶ 関連記事:共同親権はいつから?メリットや養育費・面会交流への影響をわかりやすく解説

DVや虐待がある場合は、これまで通り「単独親権」に

一方で、DVや虐待がある場合などにおいて、裁判所が子どもの安全や安心を無視して共同親権を強制することはありません。 配偶者からのDV(家庭内暴力)や子どもへの虐待がある場合など、共同親権にすることが「子どもの利益を害する」と判断される明確な理由があるケースでは、裁判所は共同親権を認めず、これまで通りどちらか一方を「単独親権者」に指定する可能性が高いと考えられます。

お互いが譲らず「単独親権」を争う場合のポイント

共同親権が選択肢に加わった現代においても、「夫婦間の対立が激しく、共同で子どもの重要事項を決めるのは不適切」「子どもの安全のために自分が単独親権を取りたい」という状況では、単独親権の獲得を目指して動くことになります。 双方が「自分が単独親権者になるべきだ」と主張して譲らない場合は、最終的に裁判所がどちらか一方に親権を認めるか、もしくは認めないか(あるいは共同親権にする)という判断を下すことになります。 では、「裁判で単独親権を争うことになった場面」において、どのような事情が有利・不利に働くのか、具体的なケースを詳しく見ていきましょう。

「専業主婦」や「有責」でも親権争いで負けるとは限らない

配偶者から「お前には収入がないから親権は無理だ」「お前が不倫したのだから親権を取れるわけがない」などと責められ、親権を諦めてしまう方も少なくありません。 しかし、裁判所はさまざまな事情を考慮して親権者を判断するため、以下のようなケースであっても、直ちに親権争いで負ける(親権が取れない)とは限りません。

専業主婦(無職)で収入がない場合

「収入がないから子どもを育てられない」という不安は、専業主婦が抱える大きな悩みのひとつです。しかし、裁判所が親権者を決める際、「現在の経済力(収入の多寡)」だけが決定的な要素になるわけではありません。 最も重視されるのは、「これまで誰が子どもの主たる監護者(主に育児を担う人)であったか」という実績です。専業主婦として、毎日の食事の用意、学校の準備、病気の際の看病など、子どもの世話をメインで担ってきたのであれば、その監護実績は親権判断において評価されます。 また、離婚後の子どもの生活費や教育費については、親権を持たない側の親から支払われる「養育費」や、国・自治体からの手当(児童扶養手当など)を含めて、総合的に生活環境が整えられるかを判断されます。そのため、現時点で無職やパート勤務であったとしても、それだけで親権争いに負けるというわけではありません。

みんなの法律相談に寄せられた相談

離婚前の親権争いについて

相談者の疑問 旦那に離婚はしてもいいけど、親権は譲らないと言われました。離婚届を受理するには親権の欄は空白だとダメと記事で見たことがあります。>>> 質問の続きを見る

後藤 貞和の写真 弁護士の回答後藤 貞和弁護士 専業主婦かつ子がまだ小さいということで、相談者が子育てをしてきたのなら、むしろ圧倒的に有利なのは相談者の方です。>>> 回答の続きを見る

上記の相談は共同親権が導入される前のものですが、法改正後も「経済力だけで親権が左右されるわけではない」という原則は変わりません。 共同親権になる場合でも、単独親権を争う場合でも、不足する生活費は相手からの「養育費」や自治体の「手当」で補うことを前提に、子どもの利益が総合的に判断されます。そのため、無職やパート勤務であることを理由に親権獲得を諦める必要はありません。

母親側の不倫・浮気などが原因で離婚する場合

母親側の不倫が原因で離婚に至る場合、「有責配偶者である自分には親権を取る資格がない」と自責の念に駆られてしまうかもしれません。 しかし、法律上「夫婦間の問題(不倫)」と「親としての適格性(親権)」は分けて考えられる傾向があります。不倫をしたからといって、自動的に親権を失うわけではありません。 日常的に子どもの世話をしてきた実績が認められれば、親権者(または共同親権者)として指定される可能性は十分にあります。

母親側に借金がある場合

借金があることも、直ちに親権を失う決定的な理由にはなりません。裁判所が重視するのは、「その借金が子どもの生活環境を脅かしているか」という点です。 生活費を補うための借金であり、日々の育児は適切に行われている場合と、過度な浪費やギャンブルによる借金で育児放棄につながっている場合とでは、裁判所の評価は大きく異なります。借金の理由や返済計画を冷静に説明できるよう準備しておくことが大切です。

軽度のうつ病や通院歴がある場合

育児や仕事のストレス、環境の変化などにより、心療内科や精神科へ通院している場合、離婚に際して配偶者から「精神的に不安定だから子育ては無理だ」と主張されることがあります。 しかし、親権に悪影響を及ぼすのは「物理的に育児が不可能なほどの重篤な状態」です。うつ病や適応障害などで通院・服薬しながらであっても、これまで通り子どもの世話や家事をこなせているのであれば、通院歴があるという事実だけで親権が認められなくなるケースはまれです。

そもそも親権は何で決まる?裁判所が重視する主な判断基準

親権争いで裁判所が重視するポイントを示した図 裁判所は親権者を指定する際、「どちらが親として優れているか」という感情的な比較ではなく、どうすることが「子どもの利益(心身の健全な成長)」のためになるかを最優先に考えます。

具体的には、以下の主な7つの判断基準を総合的に評価して決定されます。 親権の基本的なルールや、親権を獲得するまでの具体的な手続きの流れ(協議・調停・裁判)については、以下の記事でより詳しく解説しています。あわせてご確認ください。

▶ 関連記事:離婚時の「親権」とは?監護権との違いや決まる基準・流れをわかりやすく解説

1. 監護の実績と継続性(これまで誰が育ててきたか)

現在までの養育状況を重視する基準です。子どもの生活環境を急激に変えることは強いストレスになるため、これまで主に子育てを担ってきた親(主たる監護者)のもとで引き続き生活することが望ましいと考えられます。これを「継続性の原則」と呼びます。 日常的に食事の世話や学校の準備などをしてきた実績があれば、評価の対象となります。一方で、別居後に相手のもとで長期間安定して暮らしている実態がある場合は、現状維持が優先される可能性がある点には注意が必要です。

2. 子どもの意思(おおむね10歳以上の場合)

子どもの年齢がおおむね10歳以上になると、子ども自身の意思も重要な判断材料として尊重されるようになります。また、15歳以上の場合は、法律上必ず子どもの陳述(意見)を聴かなければならないと定められています。 ただし、親から言わされている(片方の親を悪く言うよう吹き込まれている)など、本心ではない疑いがある場合は、家庭裁判所調査官による面接などで真意が慎重に見極められます。

3. 育児のサポート体制(親族の協力など)

親が仕事や病気などで十分な育児ができないときに、祖父母などの親族や地域のサポートを受けられる環境が整っているかどうかも評価されます。ただし、あくまで「親自身の監護能力」が基本であり、親族のサポートは補助的な要素として考慮されます。

4. 養育環境・親の健康状態

子どもの成長に適した住居や教育環境が整っているか、親自身が身体的・精神的に健康で育児に支障がないかという点も確認されます。前述の通り、通院歴があっても日常の育児ができていれば大きなマイナスにはなりませんが、重度の疾患や育児放棄がある場合は不利に働きます。

5. 面会交流の寛容性

離婚後、離れて暮らす親と子どもが会う「面会交流」に対して、協力的(寛容)であるかどうかも考慮されます。ここでいう「寛容」とは、たとえば子どもが相手に会いたがっているときや、相手から面会の申し入れがあったときに、快く日程を調整したり、子どもの前で相手の悪口を言って会いたくない気持ちにさせたりせず、電話や手紙でのやりとりも含めて、子どもと相手の親との関わりを妨げようとしない姿勢のことを指します。 ただし、現在の裁判実務において、この面会交流への寛容さは親権を決める際の最優先事項ではなく、総合的な判断の中で「補充的に考慮される一要素」に過ぎません。そのため、前述の「監護の実績(継続性の原則)」などを覆すほどのものではありません。 とはいえ、子どもの健全な成長には双方の親との関わりが望ましいとされるため、DVや虐待の恐れといった正当な理由がないにもかかわらず、不当に面会を拒絶する姿勢はマイナスに評価されることがあります。

6. 母性優先の原則(近年は変化しつつある)

母性優先の原則とは、特に乳幼児期の子どもについては、母親によるきめ細やかなケアが必要であるとする考え方です。 ただし、近年は父親の育児参加が増加していることや、性別による役割分担意識の変化もあり、この原則は絶対的なものではなくなりつつあります。「母親だから必ず有利」というわけではなく、あくまで「親としての役割(日々の温かな関わり)」をどちらが果たしてきたかという実態が重視されます。

7. きょうだい不分離の原則(あくまで補助的な要素)

兄弟姉妹がいる場合、特別な理由がない限り、一緒に生活させた方が子どもの情緒的安定に良いとされる原則です。親の都合で「兄は父親が、妹は母親が引き取る」といったように引き離すことは、原則として避けられる傾向にあります。 ただし、この原則は「監護の実績」や「子どもの意思」といった主要な判断基準を補完する、あくまで補助的な要素に過ぎません。きょうだいを一緒に育てること以上に「これまでメインで育ててきた親との生活を維持すること」や「子ども自身の明確な拒絶」などが重視されるケースもあり、個別の事情に応じて柔軟に判断されます。

母親が親権獲得を有利に進めるためのポイントと注意点

双方が単独親権を求めて家裁の場で対立した場合、単に「自分が引き取りたい」「相手には任せられない」と感情的に主張し合うだけでは、裁判所を納得させることはできません。裁判所に「子どもの利益にかなう選択は何か」を客観的に判断してもらうためには、実務に沿った適切な準備と注意点の把握が必要です。

母子手帳や育児日記など「監護実績の証拠」を集める

裁判所は客観的な証拠に基づいて判断を下します。これまで日常的に子どもの世話をしてきた事実(監護実績)を証明するために、以下のような資料を今から整理・確保しておくことが推奨されます。

証拠となる資料 証明できる内容(監護実績)
母子手帳 保護者の記入欄(成長の記録など)から、子どもの発達や健康状態を継続的に管理していたことを示せます。
育児日記・カレンダーのメモ 食事、体調、成長の記録などから、日々の監護の実態を裏付けられます。
保育園・学校の連絡帳 先生とのやり取りや日々の持ち物・送迎の記録などが、客観的な証拠となります。
病院の受診記録・領収書 受診した事実の客観的な証明になります。育児日記やメモと併せて提示することで、「自身が付き添って看病したこと」の裏付けとなります。

これらの資料は、家庭裁判所調査官による調査が行われる際にも、自身の監護状況を論理的に説明するための重要な根拠となります。

夫側の「実家がサポートする」「妻には通院歴がある」という主張への対策

親権を争う際、相手側から以下のような主張がなされるケースがあります。これらに対しては、感情的にならず冷静に反論の準備をすることが大切です。

相手側からなされやすい主張の例

  • 「自分の実家の両親(祖父母)が全面的にサポートできるため、養育環境が充実している」
  • 「妻には心療内科への通院歴があり、精神的に不安定で育児は任せられない」

「実家のサポートがある」「妻には通院歴がある」という主張への対策

親族によるサポートはあくまで補助的な要素に過ぎません。裁判所で最も重視されるのは、これまで誰が主に子どもを育ててきたかという「監護実績」です。 自身がメインで育児を担ってきた実態と、離婚後も子どもとの時間をしっかり確保できる具体的な養育計画を提示できれば、相手の実家の環境(祖父母のサポート)だけで不利になることは通常ありません。 また、通院や服薬の事実があっても、日々の育児や家事に支障が出ていなければ、それだけで直ちに親権争いで不利になるわけではありません。 対策として、主治医に相談して「現在の体調であれば、育児を行うにあたって問題がない」という旨の診断書や意見書を作成してもらうなど、客観的な事実をもって反論できるよう準備しておきましょう。

正当な理由なく面会交流を拒否しない

裁判所は、離婚後も子どもが双方の親と適切な関係を維持することが子どもの健全な成長に資すると考えています。そのため、理由なく離れて暮らす親との面会交流を頑なに拒否する姿勢は、「面会交流の寛容性」の観点からマイナスに評価される可能性があります。 親権を有利に進めるためには、子どもの福祉を第一に考え、面会交流に対して前向きで合理的な姿勢を示すことが重要です。 ただし、相手に子どもへの虐待やDVの恐れがあるなど、子どもの安全が脅かされる正当な理由がある場合は、面会を制限・禁止するよう主張することが可能です。その場合も、単に「会わせたくない」という感情論ではなく、具体的な危険性や証拠を裁判所に提示する必要があります。

共同親権施行後だからこその親権争いにおける注意点

共同親権という選択肢が加わった今、双方が単独親権を主張して譲らない場合でも、裁判所の判断によって「共同親権」が指定される可能性は法的にはあります。 この変化を踏まえると、現代の親権争いにおいて最も避けるべきなのは、「いかに相手を排除するか」「相手が親としていかに不適格か」を泥沼になって責め立てる姿勢です。 そのような激しい攻撃態度は、裁判所から「離婚後の円滑な共同養育や面会交流が難しい親(子どもの利益を考えていない親)」とみなされ、かえって単独親権の獲得や自身の希望から遠ざかる原因になり得ます。 これからの親権争いにおいては、「いかに自分が子どもの健全な成長のために、安定的で適切な養育環境を提供できるか」という、子ども第一の視点(子どもの利益)を論理的・客観的に裁判所へアピールすることが、結果として自身の希望(単独親権の獲得や、子どもとの安定した生活の維持など)を叶えるための最も重要な鍵となります。

【要注意】勝手な「連れ去り別居」は違法になるリスクも

親権で不利になることを恐れるあまり、相手の同意なしに子どもを連れて家を出て別居を開始するケースがあります。 しかし、正当な理由(DVや虐待からの緊急避難など)がない状態で、一方的に子どもを連れ去る行為は、実務上「違法な連れ去り」と判断されるリスクがあります。 不当な連れ去りとみなされた場合、裁判所から「子どもの福祉を軽視している」「親権者として不適切である」と厳しい評価を受け、親権争いで不利な状況に陥ることがあります。 別居を検討する際は、子どもを連れて行くことの正当性を法的に説明できるよう、事前に専門家に相談するなど慎重に進めることが不可欠です。

親権問題でお悩みの方は一度、弁護士へ相談を

離婚に際して子どもの親権をめぐる対立が生じると、「自分に経済力がないから諦めるしかないのか」「子どもと引き離されてしまうのではないか」と、一人で深い不安を抱え込んでしまう方が多くいらっしゃいます。 しかし、専業主婦の方などが最も心配しがちな別居中の生活費については、法律上「婚姻費用(こんいんひよう)」として収入の多い配偶者に対して請求することが可能です。 また、共同親権制度が施行された現代の親権争いにおいては、裁判所の判断基準や実務上のアプローチがこれまで以上に複雑化しています。
「自身のケースで単独親権となる見込みがあるのか」「監護実績を証明するために、今からどのような証拠を集めておくべきか」など、個別の状況に応じた的確な見通しを立てるためには、早い段階での客観的な見通しが欠かせません。
まずは離婚問題に強い弁護士へ相談し、ご自身と大切な子どもの未来を守るための適切なサポートを受けてみてください。

よくある質問(FAQ)

Q1:専業主婦で実家に頼ることもできません。単独親権を獲得することはできますか?

獲得できる可能性はあります。祖父母など親族によるサポート体制はあくまで補助的な要素にすぎず、親権の必須条件ではありません。

裁判所で最も重視されるのは、これまで誰が主に子どもの世話をしてきたかという「監護実績」です。実家に頼れない場合であっても、保育サービスや行政の支援制度などを活用した離婚後の具体的な養育計画を家庭裁判所に説明できれば、専業主婦であることや親族の協力が得られないことだけで不利になることは通常ありません。

Q2: 夫が同意なく子どもを連れて別居してしまいました。どのような対応をすべきですか?

直ちに弁護士へ相談し、家庭裁判所へ「子の引き渡しの保全処分」や「監護者指定の調停・審判」を申し立てることを検討してください。裁判所は現在の安定した子どもの生活環境を維持することを重視する(継続性の原則)ため、別居期間が長くなり、相手のもとでの生活環境が固定化するほど、子どもを取り戻すことが難しくなる傾向があります。

Q3: 配偶者から「親権は渡さない」と離婚届へのサインを迫られています。どうすればよいでしょうか?

親権やその他の離婚条件に合意できないのであれば、離婚届に署名・捺印をしてはいけません。万が一、相手が勝手に離婚届を記入して提出してしまう恐れがある場合は、直ちに市区町村役場へ「離婚届不受理申出(りこんとどけふじゅりもうしで)」を提出しましょう。

その上で、弁護士を間に挟むか家庭裁判所の「離婚調停」の場で親権を争うことになります。

Q4:お互いに「単独親権」の希望を譲らない場合、裁判所によって強制的に「共同親権」にされてしまうのでしょうか?

必ず強制的に共同親権にされるわけではありません。新制度のもとでは、双方に合意がなくても裁判所の判断で共同親権が指定される可能性は法的に開かれました。しかし、法律上「共同親権が原則」と決まっているわけではなく、裁判所は「どちらが子どもの利益になるか」をケースごとに慎重に判断します。

裁判所が判断する際、以下のようなケースでは、法律によって「必ずどちらか一方の単独親権にしなければならない」と定められています。

・子への虐待や、もう一方の親へのDV(身体的なものだけでなく精神的な暴力も含む)のおそれがある場合

・二人の対立が激しく、子どもに関する重要事項を共同で決めることが難しく(共同行使が困難な)、子の利益を害する場合。

また、DVや虐待などの深刻な事情がなくとも、夫婦間の葛藤や対立が極めて激しく、離婚後に子どもに関する重要事項(教育や医療など)を共同で決めていくことがおよそ不可能であると裁判所が客観的に判断した場合も、共同親権ではなくどちらか一方の単独親権が選択される可能性はあります。あくまで「子どもの健やかな成長にどちらの形式がふさわしいか」が判断の基準となります。

この記事の監修者
渡邊 律弁護士のプロフィール画像
渡邊律法律事務所
渡邊 律 弁護士
(栃木県弁護士会)
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この記事は、公開日時点(2026年08月12日)の情報や法律に基づいています。

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