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ボードゲームの達人「憲法」を楽しくしてしまう 協力プレーで日本守る、8月発売
試作イメージ。製品化の際は厚紙仕様になる

ボードゲームの達人「憲法」を楽しくしてしまう 協力プレーで日本守る、8月発売

憲法の理念がなくなったらどうなるのだろうーー。「明日の自由を守る若手弁護士の会」(あすわか)などが、とっつきにくい憲法を楽しく遊んで理解できるよう「ボードゲーム化」の企画を進めている。小学3年生以上が対象で、2019年8月に販売開始の予定だ。

ボードゲームというと、プレイヤー間で勝敗を争うものを想像しがちだが、憲法の趣旨に合わせ、全員でクリアを目指す「協力型」のルールを採用。本場ドイツではメジャーなジャンルだという。

ゲームデザインを担当する、ボードゲーム作家でまちづくりコンサルタントの安藤哲也さんは、「参加者全員で勝ちを目指す。会話するほど勝率が上がるので、コミュニケーションが大事になる」と説明する。一体、どんな内容なのか。

●憲法がなくなったらどんな不幸が起きる?

4月25日、都内でゲームの試作品が公開された。コンセプトは「憲法のない世界を体感してもらう」ことだ。

デザイン面で協力した安藤さん自身、憲法と言われても「9条」のイメージくらいしかなかったという。

「なぜ関心がなかったかというと、憲法がなかったらどうなるのかを想像できないから。そこを示すことができれば、逆説的に憲法の意義が伝わると思った」(安藤さん)

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そこでゲームの舞台を「憲法がなくなった日本」とした。放っておくと、職業や結婚相手、信じる宗教を選ぶ自由などがなくなってしまう。都市の壊滅を防ぐため、プレイヤー同士で協力して、東京や大阪など12都市に「憲法のバリア」を張っていくという設定だ。

●「私たちは憲法の価値観を身につけて生きている」

プレイヤーは3〜4人を想定。都市と都市を移動し、サイコロを振って「全員の目が奇数」や「合計いくつ以上」などの指定条件を満たせば、バリアを張れる。

一方、プレイヤーのターンが終わると、山札から「プアカード」を引く。憲法がなければ、どんな不幸が起こるかを示したカードだ。

たとえば、憲法25条(生存権)に関するものだと、「お金がなくて、子どもを東京に売りました」「寝る場所は、いつも駅のホームです」「夏40度を超えても、クーラーがつけられません」ーーなどが現時点で考えられている。

12都市にはそれぞれ憲法の条文が割り当てられており、関係するプアカードが一定枚数溜まると都市が壊滅してしまう。その前にバリアを張るのがクリア条件だ。

条文の選定は、あすわかが担当。重要と考える条文の中でもイメージしやすく、プアカードをつくりやすいものを選んだという。

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各プレイヤーには、それぞれプアカードの山札を上から3枚見られるなど、個別の能力も設定されている。都市間の移動でも行動回数を消費するため、チーム内でどの都市から救っていくかなど、戦略の組み立てが必須になってくる。

「憲法のことを知らないとは言っても、私たちは憲法の価値観を身につけて生きている。プアカードの内容を見ると、『えっ』となる。私たちの中にある憲法の価値に、知らないうちに出会っていく。そこが面白いところ」(あすわかメンバーの武井由起子弁護士)

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●クラウドファンディングも

価格は4000円前後。制作費を調達するため、近くクラウドファンディングのページも立ち上げる予定だ。

教育現場での利用も想定しており、現在は学校の1コマの時間に収まるようゲームバランスを調整しているところだという。

(弁護士ドットコムニュース)

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