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2014年10月22日 13時12分

<ベネッセ情報流出>元SEの男性が「営業秘密にあたらない」と主張したワケは?

<ベネッセ情報流出>元SEの男性が「営業秘密にあたらない」と主張したワケは?
ベネッセホールディングスは7月9日、顧客情報760万件の漏えいを発表した

通信教育大手ベネッセコーポレーションの顧客情報流出事件で、不正競争防止法違反(営業秘密の複製・開示)の罪に問われた元システムエンジニア(SE)の男性の初公判が10月中旬、東京地裁立川支部であった。報道によると、ベネッセ子会社の業務委託先の会社で働いていた男性は「情報を持ち出したのは事実」と認めたが、「営業秘密ではないと認識している」と述べ、起訴内容を争う姿勢を示したという。

この男性は今年6月中旬、ベネッセ子会社で、業務用パソコンを使って約1009万件の顧客情報をダウンロードして保存。私物スマートフォンに複製し、名簿業者に渡したとされる。6月下旬には、同じ手口で約1980万件の情報を抜き取ったという。

男性の弁護人は11月に開かれる次回公判以降に、くわしく主張するということだ。世間を騒がせた事件だけに、今後の展開が注目されるが、そもそも、今回言及された「営業秘密」とはどんなものだろうか。なぜ、男性は「営業秘密ではない」という主張をしたのだろうか。企業法務にくわしい高島秀行弁護士に聞いた。

●不正競争になるかどうか

「不正競争防止法では、『企業の営業秘密を不正に取得すること』を禁止しています。これに違反すると、10年以下の懲役または1000万円以下の罰金が科せられます。

ただ、この犯罪は、あくまで『営業秘密』を複製し、開示することが要件なので、対象となる顧客名簿が、そもそも『営業秘密』にあたらないとすれば、罪には問われません」

つまり、男性は、自分の行為が「不正競争防止法違反にはあたらない」と主張しているようだ。

●営業秘密の「3つの要件」

その「営業秘密」とは、何だろうか。

「次の3つに当てはまるものを、営業秘密と言います。

(1)事業活動に有用な技術上または営業上の情報であること

(2)公然として知られていないこと

(3)秘密として管理されていること」

たとえば、どんな情報が「営業秘密」になるのだろうか。

「たとえば、製品の製造方法や処理方法、操作方法、それに関する設計図面や資料が、営業秘密となり得ます。

また、商品の価格表や仕入れ値、業務提携に関する情報や顧客名簿など、営業上の情報も対象とされています」

高島弁護士はこのように述べたうえで、「今回流出したのは、顧客の個人情報、つまり顧客名簿ということですので、(1)と(2)の要件では、あまり争いようがないと思います」と指摘する。

●「秘密として管理されている」かどうか

そうなると、残りは(3)「秘密として管理されていること」(秘密管理性)という点だ。高島弁護士によると、一般的に不正競争防止法違反が問われるケースでは、この部分が争われることが多いという。

「その情報が『営業秘密である』というためには、たとえば、データベースにアクセスするためのパスワードを設定し、権限のある者だけにアクセスを許すなど、顧客名簿をほかに漏らしてはいけないというルールを作っておかなければいけません。そして、それを従業員や業務委託先の業者に知らせておくことなどが必要です。

このような措置をきちんと取っていなければ、『営業秘密』として管理されていたとは言えないこともあるのです」

そうすると今回の裁判でも、ここが焦点になる可能性もあるわけだ。

「くわしい事情はわかりませんが、営業秘密について被告人が争うとすれば、『業務委託先の従業員まで秘密の管理ルールが徹底されていなかった』ということなのかもしれません」

被告人男性の側が、どのような主張を繰り広げるのか。次回の公判に注目が集まりそうだ。

(弁護士ドットコムニュース)

取材協力弁護士

高島 秀行弁護士
「ビジネス弁護士2011」(日経BP社)にも掲載され、「企業のための民暴撃退マニュアル」「訴えられたらどうする」「相続遺産分割する前に読む本」(以上、税務経理協会)等の著作がある。ブログ「弁護士高島秀行の遺産相続・遺留分の解決マニュアル」を連載中。
https://souzoku-soudan-bengoshi.jp

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