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コムドットやまとさんが盗撮被害に警告、盗撮者を「全国に公開する」脅迫になる?
画像はイメージです(y.uemura / PIXTA)

コムドットやまとさんが盗撮被害に警告、盗撮者を「全国に公開する」脅迫になる?

人気YouTuberグループ「コムドット」のやまとさんが10月18日にインスタグラムを更新し、親との撮影中に盗撮被害を受けたと明かしました。

やまとさんはストーリーズで「盗撮が多すぎて気持ち悪いです」と指摘。そのうえで「遠くから撮ってきたカップルのお2人へ」と呼びかけ、「もし親の顔をSNS出した場合2人の写真を全国に公開します」と警告しました。

「写真を公開します」という発信に、法的な問題はないのでしょうか。また、無断で撮影されたり、その写真をネットに出されたりすることはどうでしょうか。簡単に解説します。

●「写真を公開します」というSNSでの発信は脅迫罪になる?

ネット上では、写真を公開します、とSNSなどで発信することが脅迫罪にあたるのではないか、という疑問を持たれている方も多いようです。

脅迫罪(刑法222条)は、生命や身体、自由、名誉、財産に害を加えると告げて人を脅した場合に成立します(2年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金)。

「写真を全国に公開する」という予告も、名誉や自由に対する害を告げた、と評価しうるでしょう。

なお、たとえ「もし〜した場合」と条件が付いていても、それだけで害を告げなかったことにはならないと考えられています。

また、相手が内容を全く知らなければ、害悪を告知したとはいえません。

ただし、直接相手に対してメッセージを送っていなくても、相手がその内容を知れば足りると考えられています。

なお、今回はストーリーズへの投稿をカップル本人が見たかは分かっていません。

さらに、脅迫罪が成立するには、相手を怖がらせる(畏怖)に足りる程度の害悪の告知が必要となります。

このような程度に足りるかは、告知した内容だけでなく、周りの状況なども含めて判断されます。必要なのは一般の人を怖がらせるに足りる内容であることで、相手が実際に怖がらなくても成立しうるとされています。

影響力の大きいアカウントからの投稿であることは、このような程度が大きい方向に傾く事情の一つとして考慮されうるでしょう。

このように見てくると、大きな影響力を持つインフルエンサーが、自らが撮影した相手の写真を公開するとSNSで告知し、相手がそれを知った場合には、場合によっては脅迫罪の要件を満たしうると思われます。

もっとも、よほど悪質なものでない限り、実際に警察が動いたり、刑事裁判になったりすることは多くないでしょう。

ただ、刑事事件にならなくても、民事の責任は別に問われる可能性があります。

たとえば、脅すような内容が相手に届いて恐怖を与えれば、不法行為(民法709条)として慰謝料を払うよう命じられる可能性があります。

裁判例では、飲食店の店長にメッセージで害悪を告げて怖がらせた行為を脅迫にあたる不法行為と認め、侮辱的な表現で名誉感情を傷つけた点や、記事の投稿による名誉毀損とあわせて、送った人に慰謝料30万円などの支払いを命じたものもあります(東京地裁令和3年(2021年)10月27日判決)。

●無断で撮ること自体は、犯罪になりにくい

公共の場で、服を着た人を撮影するだけなら、基本的には犯罪にはなりにくいといえます。

これはやまとさんも、カップル側も同じです。

犯罪となるのは、性的な部位や下着をひそかに撮る場合(性的姿態撮影処罰法、迷惑防止条例)など、かなり限られています。

●無断撮影や公開は、民事上の肖像権侵害やプライバシー侵害になりうる

民事で問題になるのは、肖像権とプライバシーの2つです。

肖像権は、みだりに自分の姿を撮影されたり、公表されたりしない利益です。撮影することと、その写真をネットに出すことの、それぞれが問題になります。

肖像権の侵害にあたるかどうかについて、最高裁は、撮られた人の立場や、撮影の場所・目的・方法などを総合して、社会生活上我慢すべき限度を超えるかで判断しています(最判平成17年(2005年)11月10日)。

撮影しただけで公開していない段階では、遠くから撮った程度であれば、違法とまではされにくいでしょう。

ネットに出す場合も、景色の中にたまたま小さく映り込んだだけなら、我慢すべき限度内とされやすいでしょう。

一方、特定の人を狙って撮り、顔が分かる形でネットに出せば、限度を超えると判断されやすくなります。

たとえば、路上で撮った人物の動画を無断でYouTubeに投稿した行為を、違法とした裁判例もあります(東京地裁令和4年(2022年)10月28日判決)。

プライバシーは、私生活の事柄をみだりに公開されない利益です。こちらは主に、写真を公開したときに問題になります。

写真から、誰と、どこにいたかが分かれば、私生活の事柄を公開したことになりえます。表立った活動をしていない一般の人であれば、この利益はより強く認められやすい傾向があります。

肖像権やプライバシーを侵害された人は、相手に損害賠償を請求したり(民法709条)、投稿の削除を求めたりすることができます。

カップル側が本当にやまとさんらを撮影していてそれを公開した場合も、逆にやまとさんが実際にカップルの写真を公開した場合も、同じように、肖像権やプライバシーの侵害が問題になります。

やまとさん側の公開で「盗撮した2人」などの言葉を添えれば、名誉毀損も問題になりえます。民事の責任だけでなく、名誉毀損罪(刑法230条、3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金)に問われる可能性もあります。

なお、先に撮られたり公開されたりしたことへの対抗だったとしても、法的な手続きによらずに自分で仕返しをすることは原則として認められておらず、それで違法でなくなるわけではありません。

小倉匡洋(弁護士ドットコムニュース編集部記者・弁護士)

この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいています。

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