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「サリン被害者の苦悩つたえたい」 後遺症のこる映画監督がアーカイブ立ち上げ
阪原淳さん(2022年3月15日/弁護士ドットコム撮影)

「サリン被害者の苦悩つたえたい」 後遺症のこる映画監督がアーカイブ立ち上げ

オウム真理教による地下鉄サリン事件から3月20日で27年になるのを前に、被害者の1人で映画監督の阪原淳(さかはらあつし)さんが3月15日、サリン被害者の声を集めるアーカイブを立ち上げた。

松本・地下鉄サリン事件の被害者やその家族の苦悩が伝わっていないとして、彼・彼女たちの声を録音・録画して、YouTubeチャンネル「サリン被害者情報発信アーカイブ」で発信していく。

・サリン被害者情報発信アーカイブ
https://www.youtube.com/channel/UC7ub-sOil4sq4wedmG12W4g

●27年が経とうとする現在も後遺症に悩んでいる

1995年3月20日に発生した地下鉄サリン事件では、猛毒の化学兵器「サリン」がまかれて、乗客・駅員など13人が死亡(のちにもう1人死亡)、6000人あまりが負傷した。

その日、サリンをまかれた車両に乗り合わせた阪原さんは被爆して、事件から27年が経とうとする現在も後遺症に悩まされている。

阪原さんは3月15日、東京・霞が関の厚労省記者クラブで会見を開いた。その冒頭、ロシアによるウクライナ軍事侵攻に触れて、サリン被害者として、次のように述べた。

「今、ヨーロッパで戦争がありますが、本当に、化学兵器の後遺症はつらいので、絶対に使わないでいただきたい。本当につらいです。社会で理解されていません」

阪原さんによると、サリンの被害者は、事件のことを忘れようするなどして、一見して健常そうに見えることがある。

しかし、阪原さんは、身体から「スーッとエネルギーがなくなっ」たり、目が疲れやすかったり、手足がしびれたり、うまく眠れなかったりするという。

「後遺症のために生きていくのも大変という状況の人も少なくない」「後遺症は続くんですよ。(私の場合)『遅発性』ということで、あとになるほど出ている感じがします」(阪原さん)

●「後遺症の状況について正確に把握してほしい」

サリン被害者をめぐっては2008年、オウム真理教の犯罪被害者を救済するための給付金に関する法律(2008年)が制定された。

しかし、阪原さんによると、サリン後遺症の実態はまったく把握されておらず、被害者本人やその家族に対する国の支援は不十分だという。

こうした問題意識から、阪原さんは昨年、オウム神理教の後継団体「アレフ」の幹部、荒木浩氏に密着するドキュメンタリー映画『AGANAI 地下鉄サリン事件と私』を公開した。

さらに、3年期限付きで「サリン被害者の会」を設立し、アーカイブ活動を通じて、後遺症の状況について正確に把握することや、適切な支援・サポートをうったえていく。

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