突然DMで下半身の写メを送りつけられた20代女性。注意喚起のツイートをしたら、相手から「訴える」と言われ困惑しています。
弁護士ドットコムに寄せた相談によると、女性は趣味用に作っていたSNSアカウントである男性からDM(ダイレクトメッセージ)がきました。最初は普通の会話だったものの、突然、男性から下半身の写メが送られてきました。
共通のフォロワーも多かったため、女性は「この人から下半身の写メが送られてきました」と注意喚起のツイートをしました。すると、男性から「名誉毀損だ。DMを公開するのは違法だ。弁護士をたてて訴える」と反論されてしまいました。
女性は「たしかに振り返ってみれば最初は被害者だったとはいえ、私の行動も法的に問題があったかもしれないと思い心配しています」と自分の行いが間違ったものだったのか疑問に感じています。
はたして女性の行為は法的に問題があるのでしょうか。伊藤諭弁護士に聞きました。
●わいせつ物頒布罪にあたる可能性も
——突然わいせつ画像を送りつけてきた男性の行為は、どのような法的問題がありますか
まず、この男性の行為は、なんらかの問題がありそうに見えます。そこでどのような犯罪に該当するか検討したいのですが、実はそんなに簡単ではありません。
仮にこの人が、この女性以外にも多数に同様の行為をしているのであれば、わいせつ物頒布罪(刑法175条1項)にあたる可能性があります。また、同じ女性に対して繰り返し同様の行為をしているのであれば、都道府県の迷惑行為防止条例につきまとい行為等の禁止にあたる可能性があります。
ただ、この男性が、この女性に対して1回だけこのような写真を送ったということだけであれば、罪に問うのは難しいでしょう。もっとも、民事上の不法行為に該当する可能性はありますが、慰謝料が認められたとしても、相当少額にとどまるものと思われます。
——では、女性がDMを晒す行為も問題になるのでしょうか?
次に女性の行為について検討します。女性のツイートがこの男性の社会的評価を低下させる行為であれば、女性の行為は民事上、刑事上の名誉毀損になります。
この社会的評価を低下させるかどうかの判断基準は一般読者を基準に考えます。この女性のツイートは、一般読者が「この人は下半身の写真を送付する人間だ」と判断しかねず、やはり社会的評価を下げる言動であると言えるでしょう。
また、この女性の行為が公共の利害に関する事実にかかり、もっぱら公益を図る目的に基づくものであったかは評価の余地がないではありませんが、やはり無理はあるように思われます。このように、女性に一定の責任が発生する可能性は否定できません。
責任の程度としては、このツイートのアクセス数、掲載期間、投稿の内容、信用性の高さ、実害の有無などの諸事情を考慮して決められる傾向にあります。これらが軽微なものであれば、結果的に不法行為や名誉毀損罪を成立させるだけの社会的評価の低下が認められないという判断になることもありえます。