2018年12月08日 07時08分

無接触でも「ひき逃げ」で書類送検 「イヤホン自転車」事故の引き金に

無接触でも「ひき逃げ」で書類送検 「イヤホン自転車」事故の引き金に
画像はイメージです(tkc-taka / PIXTA)

なんとも珍しい事故が発生した。今年5月、東京都大田区で、車が女性をはねた事故。警視庁が11月下旬、事故が起きる直前、この車と接触した自転車に乗っていた男性を重過失傷害と道路交通法違反(ひき逃げ)の疑いで書類送検したことが報じられた。

読売新聞(11月28日)の報道によれば、自転車の男性はイヤホンをつけたまま走行し、乗用車と接触。車は急ハンドルを切り、近くにいた女性をはね、重傷を負わせたという。事故後、男性は救護せず、現場から去っていた。

交通事故に詳しい弁護士はこの事故をどのようにみているだろうか。今回、自転車に乗っていた男性は、なぜ重傷を負った女性に接触していないのに、重過失傷害とひき逃げで書類送検されることになったのか。西村裕一弁護士に聞いた。

●「自転車の飛び出し」がもたらした事故

ーー書類送検された男性のどの行為が問題となったのでしょうか

「東京都道路交通規則では、イヤホンを使用して安全な運転に必要な交通に関する音(車のエンジン音やクラクション、サイレンなど)又は声が聞こえないような状態で車両等を運転してはならないと定めています。これは自動車やバイクだけでなく、自転車も同じです。

今回、男性はこのルールにまず違反しています。

加えて、報道によると、横断歩道もある住宅道路で、一旦停止のある交差点に一時停止をすることなく進入しています。その結果、実際に乗用車と接触しています。そして接触した車がそのまま、交差点近くの女性と接触しました。そもそも男性の運転する自転車が飛び出していなければ、接触事故は起こっていなかったでしょう」

ーーつまり、男性の飛び出しがなければ、事故は起こらなかったと

「そうです。女性を直接ひいているのは車ですが、自転車の男性にも事故の責任があるといえます。こうした法律関係を共同不法行為といいます。

今回、男性が書類送検されたのは、警察が事故の最も大きな原因を自転車の男性のイヤホン運転と一旦停止をしていないことと捉えており、その後、事故処理もせずに現場を立ち去ったことを悪質であると評価したのでしょう。

『重過失』というのは、言葉のとおり、ちょっとした落ち度とは済まされない程度の大きい不注意です。相次ぐ自転車のルール違反にも警鐘を鳴らすという意図があるのかもしれません」

(弁護士ドットコムニュース)

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西村 裕一弁護士
福岡県内2カ所(博多、北九州)にオフィスをもつ弁護士法人デイライト法律事務所の北九州オフィス所長弁護士。自転車事故も含め、年間100件以上の交通事故に関する依頼を受けており、交通事故問題を専門的に取り扱っている。
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