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自転車の違反にも「青切符」導入、支払わないとどうなる? 「ながらスマホ」は反則金1万2000円
ながらスマホ(yamasan / PIXTA)※画像はイメージです

自転車の違反にも「青切符」導入、支払わないとどうなる? 「ながらスマホ」は反則金1万2000円

警察庁は4月24日、自転車の交通違反に交通反則切符(青切符)を適用する改正道路交通法を2026年4月1日から施行する方針を明らかにしました。

日経新聞などの報道によると、携帯電話を使いながら自転車を運転した場合には、1万2000円の反則金が科されるそうです。

今回の法改正では、対象となる違反行為が初めて明示され、自転車の「ながらスマホ」運転には1万2000円、信号無視や逆走には6000円などと定められました。

自転車固有の違反も含め計113項目が対象で、違反が確認された場合はまず警察官による指導・警告が行われ、悪質な場合に青切符が交付されるとのことです。

警察庁は安全教育の強化も進める方針としています(日経新聞など)。

自転車の違反にも青切符が導入されましたが、仮に青切符を切られたのに、反則金を支払わなかった場合、どうなるでしょうか。

●青切符とは?

いわゆる「青切符」とは、「交通反則告知書」のことです。この書面が青色をしていることから、青切符と呼ばれています。

交通違反を警察官が発見した場合に、違反をした人に青切符を渡し、違反者は反則金を納付します。

本来であれば、交通違反には罰則があり、違反をした場合には起訴されて刑事裁判になる可能性があります。

たとえば、今回の「ながらスマホ」には、「6カ月以下の懲役または10万円以下の罰金」という罰則があります(道路交通法71条第5号の5、118条1項4号)。

しかし、交通違反の数は膨大ですから、全ての交通違反についていちいち起訴・不起訴などの判断をすることには無理があります。

そこで、青切符というシステムを設け、「違反を認めて反則金を支払えば、刑事裁判にかけたりせずに事件を終わりにします」としているのです。

違反者にとっても、青切符の対象となるような比較的軽い違反で逮捕されたり刑事裁判になったりするのは大変ですから、双方にとって利益のあるシステムといえるでしょう。

●反則金を支払わなかった場合、どうなるのか

期日までに反則金を支払わなかった場合、まず督促状が届きます。

それでも反則金を支払わなかった場合、先に書いた本来の処理に戻ります。 つまり、交通事件として通常どおり刑事手続が進みます。 そして検察官が最終的に「不起訴」「略式起訴」「起訴」といった処分を決めます。

不起訴の場合にはそのまま事件は終わりです。

略式起訴の場合には、罰金を支払って終わりになります。

起訴(通常の起訴)の場合には、刑事裁判となりますので、裁判所に出頭しなければなりません。 裁判で有罪となれば、懲役刑や罰金・科料(1万円未満の支払い)の可能性もあります。

なお、この場合の罰金や科料は、反則金より高額になる可能性があります。

また、罰金を支払えという有罪判決が出てもなお、罰金を支払わなかった場合、「労役場留置」といって、労役場で強制的に労働をさせられ、働いたお金(1日5000円換算)で支払いをすることになる可能性があります。

画像タイトル 青切符が切られるとどうなる?(弁護士ドットコムニュース編集部作成)

●青切符を「無視する」リスク

青切符の段階で、反則金を納付すれば、そこで事件は終わりですし、前科もつきません。

逆に反則金を納付しなかった場合、警察署に出頭するように連絡がきますが、それにも応じなければ逮捕されることもあります。

なお、朝日新聞の報道(2024年7月12日)では、青切符の反則金未納の292人が逮捕されたことが報じられています。

そのまま刑事裁判にかけられて有罪となれば、前科がつきます。

このように、反則金を支払わずに刑事裁判に移行することは、違反を疑われた人にとって大きなリスクとなります。

●過去には違反していないと争って刑事裁判となり、無罪判決を得たケースも

その反面、「絶対に違反していないのに、警察官から違反にされた」といって、反則金の支払いを拒否し、刑事裁判になるケースもあります。

切符をきられるときは、警察官が現場を目撃した上で、その場で処理するわけですから、えん罪である可能性は低いと思いますが、絶対ではありません。

警察官だって見間違いや勘違いをすることもあります。

たとえば、高知地裁平成25年2月14日は、普通貨物自動車が、赤信号を無視して交差点を通過した現場を警察が目撃したとして、運転者が道路交通法違反(信号無視)で起訴されました。

運転者は、黄色信号で停止線を通過し、急に停まると危ない状況だったので交差点を通過したと反論しました。

裁判所は、警察官と運転者の供述の信用性を丁寧に検討し、本件自動車が停止線を通過した際に赤信号だったという警察の目撃証言は信用できないとして、被告人に無罪を言い渡しました。

●自転車の違反で無罪の証明はできるのか?

無罪を立証するのに最も役立つのは、ドライブレコーダーなどの客観的な状況が分かる証拠です。

近年は、自動車にはドライブレコーダーがついていることが多いです。 しかし、自転車用のドライブレコーダーも一応ありますが、普及率は非常に低いと思われます。

今後自転車の違反に対する罰則が強化されれば、自転車用ドライブレコーダーの普及も進むのかもしれません。

また、違反していないと主張するのであれば、最初から一貫して違反していないと主張し、記録にも残しておくことが大切だと思います。

警察官が調書を取るならその調書にしっかり書いてもらいましょう。

自分の日記等に日付が分かる形で書いておくだけでも、「その時点から違反していないと主張していた」ことの証拠にはなりえます。

この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいています。

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