足利事件で冤罪の一因となったDNA型鑑定「MCT118法」が、ほかの8事件でも有罪判決の証拠として使われていた問題。
この8事件について、法務省の佐藤淳刑事局長は10月30日の衆院法務委員会で、検察官が再審を請求すべき状況には「いずれもない」との認識を示した。
8事件には、すでに死刑が執行された「飯塚事件」も含まれている。
●8事件は「証拠品の保管」を調べる中で確認
有田芳生衆院議員はこの日、足利事件の菅家利和さんが2010年に再審無罪になった後、捜査当局が同じMCT118法を使ったほかの事件について調査した理由を尋ねた。
法務省によると、足利事件では、再審請求の即時抗告審で、より精度の高い「STR法」による再鑑定がおこなわれ、DNA型が一致しなかったことが判明した。
これを受け、検察当局は、鑑定に使った試料を採取した証拠品が検察庁に保管されているかどうかを確認。その過程で事件記録や判決を調べ、8事件を把握したとしたという。
佐藤刑事局長は、MCT118法による鑑定について、血液型と同じように「型」を判定するものだと説明した。
そのうえで「言葉が適切ではないかもしれないが」と前置きし、血液型を証拠として犯人と認定された事件で、のちに精度の高い鑑定によって有罪判決が覆っても、血液型の判定そのものが誤っていたことにはならない、との考えを示した。
●飯塚事件、確定から約2年で執行
8事件の一つである福岡県の「飯塚事件」では、一貫して無実をうったえていた久間三千年(くま・みちとし)元死刑囚の死刑がすでに執行されている。
法務省によると、久間元死刑囚の死刑執行については、2007年2月7日に当時の長勢甚遠(ながせ・じんえん)法務大臣に上申された。
その後、2008年10月24日に執行命令は出され、4日後の28日に死刑が執行された。判決確定から約2年後のことだった。
有田議員は、久間元死刑囚が「やっていない」と一貫して無実を主張し、弁護団も再審請求の準備のために面会を重ねていた中で、死刑が執行されたことを疑問視した。
そのうえで、「一般論として、死刑囚の現状調査を法務省はしているか」と質問した。
しかし、佐藤刑事局長は「お答えを差し控えさせていただきたい」と述べ、回答を避けた。
●有田議員「正義は実現していない」
有田議員は、今国会で最初に質問をした後、法務大臣から「ジャーナリズムは正義を実現しなければならないが、検察官も同じだ」という趣旨の言葉をかけられたと明かした。
そのうえで、北関東で相次いだ幼女誘拐殺人事件のうち、5事件で真犯人が捕まっていないことを指摘。
「正義は実現していないんですよ」
そう述べ、飯塚事件についても再検討が必要だとうったえた。