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週刊新潮コラム「創氏改名2.0」騒動後に書籍化 小説家の深沢潮さんが提訴、著者とワック社に賠償請求
深沢潮氏(2026年1月22日/衆議院第二議員会館/弁護士ドットコム)

週刊新潮コラム「創氏改名2.0」騒動後に書籍化 小説家の深沢潮さんが提訴、著者とワック社に賠償請求

作家の高山正之氏によるコラムやネット番組での言動によって名誉感情を侵害されたとして、コリアンルーツであることを公表している小説家の深沢潮氏が1月22日、高山氏と出版社「ワック」を相手取り、計660万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。

昨年、「週刊新潮」に連載していた高山氏のコラムは差別だとして、深沢氏が抗議したところ、これを受けて新潮社は謝罪し、連載を打ち切ったが、そのコラムはワック社から書籍として刊行されていた。

●コラムに抗議相次ぐも…別出版社から書籍化

元産経新聞記者の高山氏は「週刊新潮」(2025年7月24日発売号)に連載されたコラム「創氏改名2.0」で、深沢氏らの名前を挙げ「日本も嫌い、日本人も嫌いだが、ならばせめて日本名を使うな」などと記したとされる。

これに対して、深沢氏が差別だと批判し、多くの作家が新潮社に抗議の声を上げた結果、連載は同年8月に打ち切られた。深沢氏はこの問題を受け、新潮社との出版契約を解消している。

その後、問題のコラムを含む連載は、書籍『高市早苗が習近平と朝日を黙らせる』としてまとめられ、同年11月にワック社から刊行された(ただし、書籍での表現は「ならば日本名を使わせるな」)。

●「名誉感情侵害」の中身

訴状によると、深沢氏は3点の不法行為(名誉感情の侵害)を主張している。

1つ目は、書籍に収録されたコラムの内容で、「深沢潮」という名前を使用するなとする趣旨の記述が、氏名に関する自尊心や自負心を傷つけ、名誉感情を侵害するというものだ。

残り2つは、2025年10月から11月にかけて、高山氏が月刊誌「WiLL」に書いた『女流作家に屈服した週刊新潮』と題する原稿や、インターネット番組「デイリーWiLL」での発言内容に関するものだ。

深沢氏は2012年のデビュー当初から、自身のルーツがコリアンであることを明らかにしてきたが、高山氏はこれらの媒体で、深沢さんがあたかも出自を隠していたかのように受け取れる表現をしたとしている。これらも名誉感情を侵害すると主張して、高山氏と発行・運営元であるワック社に連帯して賠償を求めている。

●訴訟に踏み切った理由

深沢氏は、今回の被告には含めなかった新潮社についても、「責任は重いと考えている」と強調する。問題が生じてから、新潮社は謝罪文を公表したが、コラムの内容が「差別」とは認めなかったという。

深沢氏は会見で、新潮社の謝罪文を「刃物を持ったまま、ごめんなさいと言って、刃物を離さないでいるようなもの」などと表現し、「他の作家が新潮社から離れないためのアピールだと私は思っている」と語った。

コラムが書籍という形で再び世に出たことを受け、「著者に対して直接訴えるしかない」「騒動をこの本の刊行のプロモーションにしていて許しがたい」と判断し、提訴に踏み切ったという。

●訴訟を起こしたことを誇りに思うはず

会見には、深沢さんを支援する人権団体「のりこえねっと」の共同代表、辛淑玉氏も同席した。辛氏のもとにも、新潮社からの版権引き上げに関する連絡が届いているという。

「具体的な人数は申し上げられないが、少ない人数ではないとお伝えしておきます」(辛氏)

深沢氏は、コラムの問題以降、長期間にわたる抑うつ状態が続き、治療を続けているという。「この精神状態から脱して、憂いなく作家生活や社会生活を送るためには、この訴訟が不可欠だと思います」「自分が命を終えるとき、訴訟をしたことを誇りに思うはず」と語った。

一方で、訴訟によって、新たな誹謗中傷やヘイトが向けられる可能性への不安も口にした。万が一の事態に備え、家族と相談したうえで、身を隠す場所を確保しているという。

月刊WiLL編集部は同日、弁護士ドットコムニュースの取材に対して「弊社に訴状が届いてない段階で、コメントができない」と回答した。

この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいています。

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