新潟県弁護士会は5月28日、最低賃金の大幅な引上げと地域間格差の是正を求める会長声明を発表した。現在の新潟県の最低賃金985円では「到底、健康で文化的な生活を営むのは困難」として、新潟地方最低賃金審議会に大幅な引上げを答申するよう求めている。
●「月収約17万円、年収約204万円にしかならず」現行水準の問題を指摘
新潟県弁護士会は「時給985円という水準は、1日8時間、週40時間働いたとしても、月収約17万円、年収約204万円にしかならず、この金額では、到底、健康で文化的な生活を営むのは困難」と指摘。
「昨今、食料品や光熱費など生活関連品の価格が上昇を続け、実質賃金は低下しており、このような状況に鑑みても、労働者の生活を守るためには、最低賃金の大幅な引上げが必要」と強調している。
●「東京都に比べて178円低く」地域格差の深刻化を指摘
新潟県弁護士会は地域間格差の問題も重視している。声明では「最も高い東京都で時給1163円であるのに対し、最も低い秋田県は時給951円であり、212円の開きがある」と指摘。
新潟県は「東京都に比べて178円低く、全国加重平均(1055円)と比べても70円低くなっている」として、この格差が「地方から都市部への人材流出の一因ともなっており、働く世代の減少で深刻化している地方の人手不足に追い打ちをかける」と警鐘を鳴らした。
一方で、最低賃金引上げが中小零細企業の経営に与える影響についても言及。「中小零細企業とその取引先企業との間で公正な取引が確保」されるようにするとともに、「社会保険料の事業主負担分の減免などの中小零細企業への実効的支援策を実現することが不可欠」と、企業支援の必要性も強調している。