聖教新聞の紙面に掲載された写真をスマートフォンで撮影して、ツイッター(現X)に投稿したのは著作権侵害にあたるとして、発行元の宗教法人・創価学会が、投稿者の男性を相手取り、約419万円の損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁は9月26日、請求を棄却する判決を言い渡した。
●著作物の「引用」にあたると判断された
判決によると、訴えられた男性は創価学会の会員であり、かつて聖教新聞の販拡(啓蒙)活動をしていた。男性は2018年10月から2019年10月にかけて、聖教新聞の記事をスマートフォンで撮影して、その記事に対する批判をツイッターに投稿していたという。
創価学会は2023年、著作権を侵害されたとして、男性を提訴した。
東京地裁の中島基至裁判長は判決で、男性の投稿は、公正な慣行で、引用の目的上、正当な範囲内のものと認めるのが相当であるとして、著作権法で定められた「著作物の引用」にあたると判断した。
創価学会側が、学会の活動を侮辱的・揶揄的に批評する目的で写真を利用するものだから、著作権者である創価学会の意図に反しており、正当な引用として許されないなどと主張していたが、東京地裁は少なくとも著作権上の引用の成否という法的問題においては、当を得ない主張だとして退けた。
創価学会広報室は、弁護士ドットコムニュースの取材に対して「今回の判決は、従来の著作権侵害の裁判例と異なる判断を示すものであり、控訴する予定です」と回答した。
著作権法32条1項:公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。