宝塚歌劇団の劇団員だった女性が、上級生にヘアアイロンでやけどをさせられるなどのパワハラを受けて死亡したとされる問題で、遺族側代理人が2月27日、東京・厚労省の記者クラブで記者会見を開き、歌劇団側との交渉経過について説明した。
交渉はこれまで4回にわたって行われており、遺族側は15件の行為についてパワハラだったと主張している。遺族側代理人は会見で、15件のうち7件について歌劇団側が認めていると認識を示したうえで、「歌劇団側が一部のパワハラを認めたと報道されていますが、正しくは多くの行為を認めていると考えています」と述べた。
一方で、具体的にどの点がパワハラと認めたのか、歌劇団側は明らかにしておらず、歌劇団側との合意締結については、「前進しているとは思うが、暗礁に乗り上げる可能性もある」(代理人弁護士)と厳しい見方も示した。
そうした中、遺族側は、ヘアアイロンでやけどをさせられたことを裏付けるものとして、新たな証拠を報道陣に公開した。
●新証拠のLINE「やけどを化粧で誤魔化せるか心配」
記者会見で公開されたのは、女性が信頼していたというファンのLINEで、次のようなメッセージが残っているという。
「ホームズの東京公演前のお稽古のとき、電話をしてた際に火傷の話は聞いてます。
自分でやると言ったのに無理にやられておでこに火傷をしたと…。
びっくりして『あとは残っていないの?』と聞いたら『残ってる』と言っていたので東京公演に差し支えないのか聞くと、『化粧で誤魔化せるか心配』とゆってました。
念のため、写真撮ってるかも確認しましたが、それは撮ってないと言ってました。」
遺族側はこれまで、ヘアアイロンによるやけどについて、女性と遺族の間でやりしたLINE「まえがみ」「●●(上級生)にまかれて」「やけどさされた」「ちゃいろになってる」「わたし」「でこ」「さいあく」「くすりもらってるけど」「芝居の通しが痛かった」を公開している。
しかし、交渉で歌劇団側はヘアアイロンによるやけどは認めているものの、故意だったか、やけどの程度などについて、遺族側と見解が分かれているという。
●「歌劇団側は上級生らの言い分そのまま」
代理人の1人である川人博弁護士は会見で、合意締結に向けた課題として、歌劇団側の姿勢を批判した。
「歌劇団側代理人は、劇団幹部や上級生からの事情聴取をおこなったと私たちに話しています。ただ、その結果として、上級生らの言い分をそのまま受け入れて、歌劇団側の主張とする傾向が色濃く出ていると考えております。
本来、歌劇団側は、ハラスメント行為が指摘された当事者とは距離を置いて、事実に即し、ハラスメントのガイドラインを考慮して、しかるべき謝罪を遺族側におこない、合意書締結にいたる。そのような立場に立つべきです」
また、合意締結について、歌劇団側は合意した謝罪内容を公表せず、合意していない内容についてのみ会見で述べるという提案を出しているといい、遺族側は「到底受け入れることはできない」としている。
3月前半に5回目の交渉が行われる予定。