宝塚歌劇団の劇団員だった女性が死亡した問題で、遺族側代理人は2月27日、東京・霞が関で記者会見を開き、機関誌『宝塚GRAPH(グラフ)』の記事で、女性にヘアアイロンでやけどさせるなどのハラスメント行為が指摘されている上級生が発言した内容について、「遺族の心情を傷つけるものだった」と批判した。
問題とされる記事は、2023年11月号(10月19日発売)に掲載されたもので、女性が亡くなった20日後に発行されている。記事では、宙組上級生が稽古に持っていく荷物について、「ヘアアイロンを持っていこうかな」などと発言していた。
遺族側代理人によると、今後、発行元である「宝塚クリエイティブアーツ」に対して、記事が掲載された経緯などの説明を求めていくという。同社の株主は、阪急電鉄株式会社(100%)。
⚫︎遺族側は出版社に掲載の経緯説明求める
問題が指摘されているのは、宙組上級生が稽古に持っていく荷物について、次のように答えた記事だ。
「全国ツアー公演を経験したことで、予備の必要性に気づいてしまって。『今日は雨だからカールが取れやすいかも。ヘアアイロンを持っていこうかな』となったり、多めの着替えに絆創膏など、欲しくなるかもしれないものが沢山入っています(笑)。」
問題が指摘されている「宝塚グラフ」の記事(遺族側代理人資料より)
遺族側代理人によると、この上級生がヘアアイロンで女性の額にやけどを負わせたのが2021年8月。2023年1月に週刊誌がこの事件を報じると、劇団内の調査がおこなわれていたという。女性が亡くなったのは、同年9月だった。
遺族側代理人の1人である川人博弁護士は、次のように批判した。
「上級生があえてヘアアイロンや絆創膏のことを持ちだし、最後に『(笑)』などと述べたのは、上級生が被災者(亡くなった女性)に対し、やけどを負わせたことを反省せず、また、被災者を悼む気持ちを持っていないと言わざるを得ない。
そして、上級生の非常識な発言内容を、そのまま劇団の広報誌ともいえる『宝塚グラフ』に掲載した出版社の責任は重大である」
今後、遺族側代理人は出版社に対して、記事を掲載した経緯の説明や、遺族側に対する誠実な対応を求めていくという。また、阪急・劇団側も宙組上級生がこのような発言をしたことについて、「必要な措置を講じるべきである」とした。
弁護士ドットコムニュース編集部は2月27日、宝塚クリエイティブアーツに対して、記事掲載の経緯などの説明を求める取材を申し込んだ。回答が到着次第、追記する。
【追記】(2024年2月29日12:00)
弁護士ドットコムニュース編集部は2月27日、同社に対して、記事掲載の経緯などについて、説明を求める取材を申し込んだところ、翌2月28日に次のような回答を得た。
「詳細については、宝塚歌劇団等とご遺族の協議に関係する事項になりますので回答を差し控えさせていただきますが、当社として、ご遺族代理人のご指摘は真摯に受け止めており、ご遺族に謝罪したいと考えております。ご遺族との間では代理人を通じて協議させていただく予定です」