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ジャニー氏の性加害問題、沈黙する司法と大手メディア BBC番組制作者が批判
ジャニーズ事務所(yu_photo / PIXTA)

ジャニー氏の性加害問題、沈黙する司法と大手メディア BBC番組制作者が批判

ジャニーズ事務所の創業者・ジャニー喜多川氏(2019年に87歳で死去)の性加害について報じた英放送局BBCのドキュメンタリー番組が話題となっている。制作したモビーン・アザー氏と、プロデューサーのメグミ・インマン氏が東京都の日本外国特派員協会のZoom会見で、取材に応じた。

番組のなかでは、元ジャニーズの4人の証言者が登場し、「合宿所」と呼ばれるジャニー氏の自宅で起きたことを生々しく語っている。英国では3月7日に放送された。

アザー氏は「彼らは勇敢で、忍耐力があった。彼らなしには(報道は)成し遂げられなかった」と感謝の念を表明。日英のルーツを持つインマン氏は「SNS上では圧倒的な反響がありましたが、大手メディアは静かです」と明かした。

●制作者「少年を手なずけるグルーミングの達人」

会場には、40人ほどの記者が集まった。日本外国特派員協会には、日本のメディアも参加できるが、テレビカメラは3台のみだった。

日本外国特派員協会に集まった記者たち(2023年3月17日、弁護士ドットコム撮影)

20年近くジャーナリストをしているというアザー氏は、日本の司法機関の動きの鈍さや閉鎖性を指摘した。

1999〜2000年に週刊文春の記事によって、ジャニー氏のセクハラ行為が明らかにされた後、同氏とジャニーズ事務所は文春を名誉毀損で訴えた。裁判は4年にわたって続き、東京高裁判決はその重要な部分において真実であることの証明があったと認めている。

「名誉毀損訴訟の後、捜査が行われたかは知るよしもありません。ただ、確実なのはジャニー氏は起訴されなかったということ。それはショッキングなことです」

「パキスタン、メキシコ、アメリカ、カナダなどでは、弁護士や法的機関、警察への取材は可能でした。しかし日本では、特派員でない限り警察と交流することすらできない」

BBCでも人気司会者ジミー・サビル氏の少年や少女への性的虐待が死後に発覚している。

「性的搾取はすべて悪い。英国も致命的なミスを犯したことは明白、もっと早く世の中に出すべきだった」「権力ある者によるグルーミング(手なずけ)が問題です。元ジャニーズの中にも『まだ好きですよ』と語る人もいた。ジャニー氏は、若い少年たちに特別な関係だと信じさせ、操る達人なのです」(アザー氏)

●会見参加の記者「外国人を職質している場合じゃない」

会見終了後、弁護士ドットコムニュースが参加者に取材すると、日本の特殊性を指摘する声が相次いだ。

23年在住の英国出身作家ブライアン・ロングさんは「娘の友達が大ファンでびっくりしている。同じCDを6枚も買い、コンサートのために国内をあっちこっちに飛び回ってる」「問題を日頃から見て見ぬふりをしている。政治に関してもそうだ」と手厳しかった。

デンマークのジャーナリスト健人・W・ダールさんは滞在歴43年。「警察とメディアさえ仕事をしっかりしていれば、こういうことは起きなかった。日本の警察は僕がそこら辺歩いていたらすぐに職務質問をしてきますが、やっぱり目を向けるべきものはもっと大きな問題だと僕は思います」

自身が日本国内で受けた性被害を告発したオーストラリア人のキャサリン・ジェーン・フィッシャーさんは「日本は本当に遅れている。時効は撤廃すべきです。被害を受けた人に『話してくれ』ではなく、警察や法曹など司法にかかわる関係者が聞くトレーニングをしなきゃ正義は実現できない」と強調した。

BBCドキュメンタリー「Predator: The Secret Scandal of J-Pop(J-POPの捕食者 秘められたスキャンダル)」は、BBCワールドニュースで3月18日と3月19日に放送予定。全国のケーブルテレビや各種動画配信サービスなどで視聴できる。

この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいています。

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