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「夫婦」を「婚姻の当事者」に置き換えて…同性婚の法制化求める団体が「民法改正案」公表
会見した寺原真希子弁護士(左から2人目)ら(2023年3月15日、弁護士ドットコム撮影)

「夫婦」を「婚姻の当事者」に置き換えて…同性婚の法制化求める団体が「民法改正案」公表

性別を問わない婚姻制度を求めている公益社団法人「Marriage For All Japan – 結婚の自由をすべての人に」(マリフォー)は3月15日、東京・霞が関で記者会見を開き、同性カップルも利用できる婚姻制度を明記した独自の「民法改正案」(マリフォー法案)を公表した。

マリフォー代表理事の寺原真希子弁護士によると、「現行法制度をそのまま同性カップルが利用できるようにするための最小限の改正」という。

同性婚をめぐっては、今年2月に岸田総理が「(法制化すれば)社会が変わってしまう」と発言し、続いて元総理秘書官も差別発言をするなど、同性婚を求める人たちからは真摯な議論を求める声が上がっていた。

●「シンプルな改正を速やかに」

公表された「マリフォー法案」は、夫婦に係る民法の条文において「夫婦」とあるところを「婚姻の当事者」に、「父母」とあるところを「親」と置き換えることを提案している。

また、同性カップルの婚姻届の受理ができない理由となっている「民法739条」も「婚姻は、戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、その効力を生ずる」(現行法)を「婚姻は、性別のいかんを問わず、二人の当事者が戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、その効力を生じる」(マリフォー法案)とする。

この日の会見で、寺原弁護士は「マリフォー法案における民法の改正点は、単語の置き換えのみであり、複雑な調整を要しません。可及的速やかな法改正により、一日も早く婚姻の自由と平等が同性カップルに開放されることを心より願います」と語った。

これまで国会には同性カップルの婚姻を可能とする法案が2回提出されている。しかし、2019年の野党による改正案は廃案となり、3月6日にも野党の議員によって改正案(婚姻平等法案)が提出されているが、選択的夫婦別姓にも絡むものであり、最小限の改正をするという趣旨と異なるという。

●同性婚制度のある国や地域は34カ所

会見では、立命館大学の二宮周平名誉教授(家族法)も参加し、他国が整備している同性婚の法制度について解説した。

二宮氏によると、現在、同性婚を承認している国・地域は34カ所にのぼる。法制度化されているのは、欧米が中心で、キリスト教による男女の夫婦を中心とする伝統的な家族観が根強かったが、同性パートナーシップ制度の導入を経て、同性婚が社会の脅威にならないことが確認されていったという。

こうしたことから、スペインやカナダ、オーストラリアなど、同性パートナーシップ制度を経ずに、同性婚を導入した国も増えているという。

二宮氏は、国立社会保障・人口問題研究所「第16回出生動向基本調査」(2021年)で、同性婚を容認する回答が、女性では8割を超え、未婚男性も7割を超えているとしたうえで、意識が変わっていると指摘した。

「これまで、婚外子の相続分差別や、女性のみに課せられていた再婚禁止期間などが廃止されてきました。法律は現実に対応して、当事者の権利を保障するために変えていかねばなりません」

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