弁護士ドットコム ニュース
  1. 弁護士ドットコム
  2. 民事・その他
  3. ビュッフェの「食べ放題」で大食いしたら出禁…「そんなのアリ?」法的な解釈は
ビュッフェの「食べ放題」で大食いしたら出禁…「そんなのアリ?」法的な解釈は
食べ放題(写真はイメージ トモヤ / PIXTA)

ビュッフェの「食べ放題」で大食いしたら出禁…「そんなのアリ?」法的な解釈は

「食べ放題」をうたうビュッフェやバイキングで、食べ過ぎだとして、店から飲食を制限されるとしたら、それはどう考えたらよいのでしょうか。

ツイッターなどSNSには、大食いであることを理由に「バイキング出禁」とされたという報告があります。

投稿者は店から食べ過ぎを指摘され、「お店側も原価ギリギリでこんなに取られたら迷惑だから今回を最後に」と伝えられたそうです。

また、真偽は不明ですが、ネット掲示板にも、ホテルの朝食バイキングでおかわりを5回したところ、「他のお客様も食べるので…」などと注意されたとする投稿がありました。

「ご飯大盛り5杯、白身魚フライ20枚ぐらいタルタル1本」だけでもすごい量ですが、さらに「ポテト山盛り、小鉢明太子50個、マヨネーズ1本」という大食いっぷりを発揮していたところ、他の客への配慮から注意されたといいます。

投稿者は「バイキングなのに食べちゃだめっておかしくない?これ法律違反してない?」と不満を漏らしています。

●食べ放題で「大食い制限」「出禁」の法的問題は?

ただ、店によっては、「大食い」「過食障害」「他の客への迷惑」となる場合、入店を拒むと断りを入れる飲食店もあります。

ビジネスホテルでよく見る食べ放題の朝食メニュー(イメージです。Mochio / PIXTA) ビジネスホテルでよく見る食べ放題の朝食メニュー(イメージです。Mochio / PIXTA)

時間制限のほかに特にルールを設けていない「食べ放題」を実施する飲食店で、食べ過ぎを理由に大食いを制限されたり、出禁とされたりすることに、法的な問題はあるのでしょうか。

大食いのテレビ番組が好きで大食いの双子女性YouTuber「はらぺこツインズ」のファンである大和幸四郎弁護士に聞きました。

●注意はやむをえず、「出禁」も法的に可能な場合が考えられる

——「食べ放題」のバイキング・ビュッフェにおいて、「食べ過ぎ」を理由に自由な飲食を制限されたり、出禁とされた場合、法的な問題は考えられるでしょうか(時間制限以外のルールは特に定められていないものとします)

まず、一般の飲食店では、客が注文した特定の飲食物を、飲食店が提供し、客が代価を支払うという内容の契約です。

食べ放題については、「時間制限」「持ち帰り禁止」「注文は全部食べてから」「デザートの注文は1つまで」などのルールが決められているのが一般的であり、そのルールを破った場合は店から注意されることもあると思います。

問題は、今回のような場合です。時間制限を除いて特にルールがないので、ただの「食べ過ぎ」を理由として店が注意をするのは不当(契約違反・債務不履行)でしょう。

他方、食べ過ぎる客は店にとって採算が取れないとか、他の客が食べたいものを食べてしまって他の客に迷惑をかけることもあります。  

それに、食べてはトイレで吐くことを繰り返すとなると、フードロスやトイレの詰まりの問題になれば、店からの注意はやむを得ないと思います。

ですので、これらを理由に食べ過ぎを注意して制限したり、出禁にすることは、お店にも契約相手方選択の自由がありますので、法的に可能と思います。

食べ過ぎは万病のもとだと思います。節度を守って、楽しく飲食してもらいたいと思います。

この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいています。

プロフィール

大和 幸四郎
大和 幸四郎(やまと こうしろう)弁護士 武雄法律事務所
佐賀県弁護士会。2010年4月~2012年3月、佐賀県弁護士会・元消費者問題対策委員会委員長。佐賀大学客員教授。法律研究者、人権活動家。借金問題、相続・刑事・男女問題など実績多数。

オススメ記事

編集部からのお知らせ

現在、編集部では協力ライターと情報提供を募集しています。詳しくは下記リンクをご確認ください。

協力ライター募集詳細 情報提供はこちら

この記事をシェアする