最高裁判事の国民審査、SNSの「罷免運動」は通用するか? 過去最高の不信任率は「15.17%」
各サイトより

最高裁判事の国民審査、SNSの「罷免運動」は通用するか? 過去最高の不信任率は「15.17%」

衆院選と同日の10月31日におこなわれる最高裁裁判官の国民審査。これまでの24回で罷免された裁判官は一人もおらず、形骸化していると言われて久しい。

理由のひとつには、ニュースで最高裁判決を扱っても、時間や紙面の都合で新聞やテレビが裁判官の個別意見などを十分に紹介してこなかったことがあるとの指摘もある。

こうした反省もあってか、近年は国民審査に合わせて、裁判官の裁判ごとの判断や人となりの紹介に力を入れるメディアも出てきている。

また、SNSの普及などから、こうした情報を活用した「裁判官の落選運動(罷免運動)」とも言える動きも出てきているようだ。

●盛んな罷免運動

NHKは国民審査にあわせて、10月18日に主要な判決と各裁判官の判断を一覧にするなどした特設サイト(https://www3.nhk.or.jp/news/special/kokuminshinsa/2021/)をオープンした。

拡散を調べるWebツール「BuzzSumo」によると、同サイトのトップページはツイッターだけでリツイートを含め5万ツイート以上された。中には、夫婦別姓を認めないことを合憲とした裁判官を名指しして、バツをつけようと呼びかけるツイートもある。

サイボウズ社長で、夫婦別姓を求める訴訟を起こした青野慶久さんも、選択的夫婦別姓と同性婚に賛成の意思表示をしない候補と最高裁判事を一覧にしたサイト「ヤシノミ作戦(https://yashino.me/)」を9月1日に開設した。

また、弁護士や大学教授らでつくる日本民主法律家協会の有志グループも国民審査に関するリーフレットを作成(https://www.jdla.jp/shinsa/images/kokuminshinsa21_6.pdf)。夫婦別姓のほか、非正規労働者の待遇格差を不合理でないと判断した裁判官や、冤罪救済に背を向けた裁判官らにもバツをつけようと呼びかけている。

●過去最高は15.17%

国民審査で罷免された裁判官は過去24回で一人もいない。不信任の割合がもっとも多かったのは、1972年にあった第9回の下田武三裁判官(15.17%)だ。

下田裁判官は元駐米大使で、アメリカのベトナムや沖縄政策を支持。「体制に批判的な考えを持つ裁判官は裁判所をやめて、政治活動をすべき」旨の発言をしたとして批判された。

同じく審査対象で、青年法律家協会(青法協)に所属する裁判官の脱会工作を主導した岸盛一裁判官とともに、野党系の機関紙などから名指しでバツをつけるよう呼びかけられた。岸裁判官の不信任の割合も14.59%と高かった。

全体の不信任率でみると、この1972年の第9回から1990年の第15回までは10%を上回っている。しかし、1993年の第16回からの9回で10%を超えたことはない。この期間中、個別の判事で不信任率が10%を超えたのは1人しかおらず、10.28%だった。

最高裁裁判官の国民審査(79条)は、憲法改正に際しての国民投票(96条)、地方自治特別法の制定に際しての住民投票(95条)と並ぶ、日本国憲法が採用する数少ない直接民主制の仕組みだ。

もちろん、不信任率が高ければ良いというわけではないが、近年ではもっとも罷免運動が盛んに見える今回、どんな結果が出るかは、民意の表れとしても注目される。

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