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顔にビンタ、膝蹴り10回で「人生を狂わされた」子どものいじめ、慰謝料はいくら?
写真はイメージです(マハロ / PIXTA)

顔にビンタ、膝蹴り10回で「人生を狂わされた」子どものいじめ、慰謝料はいくら?

自分の子どもをいじめた子から慰謝料を取りたい——。こんな相談が、弁護士ドットコムに寄せられました。

ある日、相談者の子どもは、顔にビンタ、太ももに膝蹴りを10回ほどされて帰ってきました。実は、半年ほど前から、同じクラスの子どもからいじめを受けていたのです。

その子どもとは、外部のスポーツクラブも一緒でした。学校やクラブで「デブ」などと悪口を言われたり、手を出されたりした結果、相談者の子どもはいじめが原因でスポーツクラブをやめました。

相談者は「子どもの人生を狂わされた償いとして、慰謝料を払ってもらいたい」と考えています。

このようなケースでは、後からでも暴行の診断書を発行してもらった方が良いのでしょうか。また、慰謝料はどのくらいになるのでしょうか。高橋知典弁護士の解説をお届けします。

●解説のポイント

・診断書は傷が残っていれば後からでも発行してもらえる ・暴行を受けたらすぐに診察を ・慰謝料は数十万円にもいかない可能性がある

●実際にかかった費用を計算する

今回の事例ですと、速やかに診断書を発行してもらい、実際にかかった費用をきっちりと計算してから、示談を進めていくべきでしょう。

「診断書は後から発行してもらえるか」については、(1)通院は当時にしているが、診断書は発行してもらわなかった場合と、(2)そもそも通院もしていない場合で異なります。  医師には診断書を発行する義務があるため、通院していれば、費用はかかりますが事後的であっても(1)のような場合には診断書を発行してもらえます。

(2)の場合には、直ちに診断書を作成してもらうことはできませんが、傷が残っている状態であれば診察をしてもらってから診断書の発行も可能でしょう。

ただし、事件以外の理由で怪我をしたのではないかと言われてしまう可能性もありますので、暴力事件があったならできるだけ速やかに診察を受けた方がいいです。

●慰謝料は厳しい判断になりやすい

——慰謝料の金額はどのくらいになるのでしょうか

慰謝料は、「子どもの人生を狂わされた償いのために」という希望を叶えるほどの金額は難しいのが現状です。

後遺症があったり学校をやめたりした事例でもない限り、数十万円もいかない可能性があります。やはり、子ども同士の事件の場合、損害の算定に大人の場合の年収のような指標がないために、厳しい判断になりやすいものと考えられます。

——他にできることはありますか

これまで厳しいことをお伝えしてきましたが、諦めるのは早いと思います。

お子さん本人は、いわれのない暴力を振るわれ、大事にしてきたスポーツクラブもやめたために、「被害者が逃げるのか」「弱いから負けてしまったんだ」という悔しい気持ちでいると思います。過去、私もいじめを受けたときにはこうした感情に苦しみました。

こうした場合、加害者に対する学校や警察からの指導や捜査、スポーツクラブでの処分などを経て「暴力は許されない」「自分は負けたわけではない」と感じ、自尊心を取り戻すことにつながることがあります。

今回のように、保護者が何か子どものためにできないかと頑張る姿も、お子さんは見ていて勇気をもらうことがあります。慰謝料請求に限らず何かできることはないか、弁護士にも相談するのはいかがでしょうか。

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プロフィール

高橋 知典
高橋 知典(たかはし とものり)弁護士 レイ法律事務所
第二東京弁護士会所属。学校・子どものトラブルについて多くの相談、解決実績を有する。TBS『グッとラック!』元レギュラーコメンテーター。教育シンポジウム、テレビ・ラジオ等の出演。Yahoo!公式コメンテーター。

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