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「2週間で再収容はおかしい」 ハンストの外国人収容者、国連に「人権侵害」申し立て
鈴木雅子弁護士(2019年10月10日/弁護士ドットコム撮影)

「2週間で再収容はおかしい」 ハンストの外国人収容者、国連に「人権侵害」申し立て

法務省の施設で、在留資格のない外国人の収容が長期化している問題に対して、ハンガーストライキで抗議していた外国人2人が10月10日、仮放免から2週間で再収容されたことが「人権侵害」にあたるとして、国連の作業部会に申し立てた。入管問題に取り組む有志の弁護士グループが同日、東京・霞が関の司法記者クラブで会見を開いて、明らかにした。

●ハンストで餓死者も

現在、法務省・出入国在留管理庁の施設では、在留資格のない外国人の収容が長期化している。全国の施設で、食事をとらない「ハンガーストライキ」で抗議をおこなっている収容者が急増しているほか、今年6月には餓死する人もあらわれている。

記者会見を開いた弁護士グループによると、ハンガーストライキで著しく体重が減少した収容者は、一時的に身体を解放される「仮放免」となるが、その後、わずか2週間程度で再び収容されているという。

今回の通報者であるトルコ人のデニズさんはハンストの影響で、体重が74キロから63キロまで減少した。精神疾患の診断を提出したが、2週間(8月2日〜16日)で再収容されたという。

また、もう1人の通報者、イラン人のサファリさんは、体重86キロから64.9キロまで減少した。うつ病や不眠症消化性食道炎や十二指腸潰瘍の疑いがあるという診断書をもっていったが、2週間(7月31日〜8月14日)で再収容されたという。

●「収容されている人も人間扱いしてほしい」

今回、外国人2人が申し立てた国連の「恣意的拘禁ワーキンググループ」は、人権状況・侵害の監視や検証をおこなう作業部会だ。個人から通報を受けて、現地訪問や当事者のヒアリングなど、調査をおこなったうえで、意見書をまとめることになっている。

国際人権規約などによると、入国管理における身体拘束は、(1)最終的な手段であること、(2)最低限の期間であること、(3)裁判所による判断があること、(4)合理性、必要性、相当性がみとめられること――などがもとめられている。

弁護士グループによると、日本の入管収容(退去強制令書によるもの)は、法律上、期限のさだめがなく、裁判所による判断も入らない。さらに、法務省が、収容には「必要性・相当性を問わない」という方針であるため、収容の長期化が起きているという。

会見した鈴木雅子弁護士は「外国人を狙い撃ちにして、非人道的な取り扱いをしている。そして、国際人権規約でもとめられている『恣意的収容の禁止』に日本の実務はことごとく反している。収容されている人も同じ人間であることを認めて、人間扱いしてほしい」と話した。

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