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「宝くじ」で夢の大当たり、税金トラブルを防ぐ「当選証明書」の仕組み
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「宝くじ」で夢の大当たり、税金トラブルを防ぐ「当選証明書」の仕組み

もし、宝くじで高額当せんしたらどうなるのかーー。ネットの掲示板で議論が盛り上がりをみせた。

「家を買う」「外車を買う」「友人知人を家に呼んで毎日パーティ」など、華やかな生活を夢見る声もあったが、中には「税金怖い」「豪邸買ったら固定資産税が心配」など、税金について心配するネガティブな意見も少なくなかった。

そもそも宝くじで得た賞金は課税の対象なのか。当せん金で税金に悩む事態になるのか。蝦名和広税理士に聞いた。

●当せん金を受け取ることに税金はかからないが・・・

「まず、宝くじの当せん金には税金がかかりません。宝くじの法律である『当せん金付証票法』に、『当せん金付証票の当せん金品については、所得税を課さない』と定められているからです(13条)」

蝦名税理士はこのように述べる。当せん金を受け取ることについて、税金は課されないということだ。では、当せん金を家族に譲ったりした場合は、どうなるのか。

「この場合、当せん者から贈与されたことになるので、贈与税(最高税率55%)が発生します。仮に5億円の宝くじに当せんして、その全額を子どもに贈与したとすると、贈与税額は約2億6800万円となります。この税金は、当せん金を受け取った側が納税しなければなりません。

また、仮に贈与しなくても、自身が死亡した場合には、当せん金は相続財産となります。この場合も、相続税(最高税率55%)が発生します。

もし、宝くじが当せんした場合子どもに譲りたいと考えている場合は、宝くじを共同購入しておくことも手です。共同購入した場合、当せん金を受け取る全員で分配して受け取ることができ、その際には贈与税は課税されません。

ただし、1人1人に、後で述べる『当せん証明書』を発行してもらうことを忘れないでください」

●「当せん証明書」を発行してもらうこと

このほか、宝くじに当せんした場合に、税金の面から注意しておくことはあるだろうか。

「高額な宝くじが当たれば、突然多くの現金が入ってくるため、ローンを一括返済したり、高額商品の購入することもあるでしょう。

こうした散財は、外から見ると、不自然なお金の動きに映ることがあります。そのため、『お金の出所はどこからなのか』ということを税務署から調査されることもあります。

ですから、当せんした時には、必ず『当せん証明書』を発行してもらいましょう。『当せん証明書』がない場合、財産隠しや所得税逃れを疑われ、高い税金を請求される可能性もあるので十分注意が必要です。

共同購入した場合は、一緒に当せん金を受け取りに行き、1人1人の名義で 『当せん証明書』を受け取るようにしましょう」

【取材協力税理士】

蝦名 和広(えびな・かずひろ)税理士

特定社会保険労務士・海事代理士・行政書士。北海学園大学経済学部卒業。札幌市西区で開業、税務、労務、新設法人支援まで、幅広くクライアントをサポート。趣味はクレー射撃、一児のパパ。

事務所名 : 税理士・社会保険労務士・海事代理士・行政書士 蝦名事務所

事務所URL:http://office-ebina.com

(弁護士ドットコムニュース)

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