NHKは、今年4月から番組のレギュラー出演者に対し、「違法薬物の使用」や「反社会的勢力との関わり」がないことを確認する書面の提出を求める。大河ドラマの出演者があいついで、薬物問題で逮捕されるなどしていた。
2月13日にあった木田幸紀放送総局長の会見によると、対象は大河ドラマや連続テレビ小説などの定時番組で、正式な契約書を交わす前に違法薬物の所持・使用や今後、嫌疑をもたれる恐れがないことなどを誓約してもらう。
これまでも所属事務所を通じて確認はしていたが、より確実性を期すという。違反した場合の罰則はないそうだが、法的にはどんな効果があるのだろうか。
●罰則はないが、法的にはよりNHKの守りが強固に
罰則はないのだから、誓約書には「違約金支払条項」が入っていないものとみられる。では、破っても問題ないのだろうか。今井俊裕弁護士は次のように解説する。
「仮に違約金支払条項がなくとも、誓約書に違反した結果、NHKが相当な因果関係のある損害を被ったのなら、法的には誓約した芸能人や所属事務所が、賠償金の支払義務を負担することになります。金額について協議する必要があるに過ぎません」
また、「誓約書にはなくても、出演契約書などの別の形で合意した確定金額が記載されていれば、結局はそれが適用されるでしょう」ともいう。
違約金について、あるキャスティング会社の経営者からは「(テレビ番組だと)民放では違約金はないけど、NHKはしっかり支払わせると聞いています」という声もある。
その意味では、出演者らに対する心理面での牽制というだけでなく、法的な守りをさらに固めたという風にも評価できそうだ。
今井弁護士はさらに「NHKは公共性のある報道機関でもあり、その番組へ出演する者に関しては事前に十分に配慮していますよ、というアピールの面もあるでしょう」との見方も示していた。