インフルエンサーの春木開さんが、飲食店でメニューにないカルピスソーダを注文し断られたことをXに投稿し、話題となっています。
春木さんは9月18日、「カルピスウォーターはメニューにある。ソーダ割り用のソーダもある」「なのにカルピスソーダ頼んだら『カルピスソーダはありません。メニューにないので』」と訪れた飲食店でカルピスソーダの注文を断られたエピソードを投稿。
続けて「はにゃ!?できるやろwwww マニュアルを守ることも大事だけどお客様が喜ぶことを考えるのがホスピタリティ」と持論を展開しました。
なお、春木さんはこの後「結果としてカルピスウォーター+ソーダのカルピスソーダを作ってくれたいい店でしたよ。ポジティブ足りてた」と顛末を明かしています。
SNSでは「カスハラでは?」といった声も上がっていますが、メニューにないドリンクを注文することはカスハラにあたるのでしょうか、簡単に解説します。
●メニューにないものを頼むのは「カスハラ」?
メニューにないものを頼むこと自体が、ただちにカスハラにあたる、というわけではありません。
しかし、断られた後にさらにしつこく要求するなどの事情があると、カスハラにあたる可能性が出てきます。
今年10月1日から、カスタマーハラスメント対策が事業主の義務になります(改正労働施策総合推進法33条1項)。
これに合わせて、農林水産省と厚生労働省は2026年2月、「飲食店におけるカスタマーハラスメント対策ガイドライン」を作りました。
カスハラにあたるかどうかの判断には、大きく「どのように要求したのか」というやり方と、「どこまでの中身を要求したのか」という中身の2つが問題となります。
そのうえで、店員が働きづらくなるほどの影響があったことも必要です。
やり方の問題について、暴言や威圧的な言動は、それだけでカスハラにあたる可能性があります。店員が「やめてください」と伝えてもやめなければ、なおさらです。
このような言動がなくても、要求を長時間続けたり、断られても同じ内容を繰り返し要求したりして、店が対応を尽くしてもなお続く場合は、同じくカスハラにあたる可能性があります(ガイドラインでは、適切な対応を尽くしても30分以上続く、同様の内容が3回以上続く、といった目安が示されています)。
次に中身の話ですが、無理な値引きの要求のように、何を求めたか自体が問題になることもあります。
なお、暴力はカスハラにあたるだけでなく、それ自体が犯罪です。
ガイドラインでも、殴る・蹴るといった行為については、身の安全の確保を最優先し、警察などに通報するよう書かれています。
●今回の注文はどうか
今回の注文は、春木さんの投稿からは、現にお店にあるカルピスウォーターと炭酸を混ぜてカルピスソーダを1杯作ってくれ、というものと思われます。
これは要求の中身だけでアウトになるようなものではないでしょう。
しかし、要求の仕方や、断られたあとも要求を続けたなどの事情があれば、カスハラにあたる可能性はあります。
春木さんはXに「『できません』で終わるんじゃなくて『どうしたらできるかな?』を考えられない人はAIに奪われていく」と投稿しています。
同じ内容を店員に繰り返しぶつけていれば、カスハラにあたる可能性はあります。
ガイドラインの「侮辱・暴言」には「従業員を見下すような発言」が含まれるからです。ただ、店でどんなやりとりがあったのかは、報道からははっきりしません。
●刑事責任を負うおそれも
やりすぎれば、警察沙汰にもなりかねません。
10月1日に施行される改正法では、客側が罰せられるわけではありません。
法的義務を負うのは事業主で、客側については、必要な注意を払うよう努める、という規定はありますが、努力義務となっています。
しかし、大声で罵倒するなど店の業務に支障が出るようなことをすれば、威力業務妨害罪(刑法234条、3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金)に、店から退去を求められたのに居座れば、不退去罪(刑法130条後段、3年以下の拘禁刑または10万円以下の罰金)に問われるおそれがあります。
小倉匡洋(弁護士ドットコムニュース編集部記者・弁護士)