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日弁連「えん罪防止が不十分」 刑事司法改革グランドデザイン公表 市民に配布へ
日弁連の吉成務・副会長(左)と河津博史・刑事調査室長(東京・霞が関の弁護士会館)

日弁連「えん罪防止が不十分」 刑事司法改革グランドデザイン公表 市民に配布へ

日本弁護士連合会(日弁連)は10月31日、東京・霞が関の弁護士会館で記者会見を開き、「えん罪を防止するための刑事司法改革グランドデザイン」を公表した。

グランドデザインは、日弁連がこれまで公表してきた、えん罪の防止にかかわる意見書をとりまとめたもの。刑事司法手続きの現状や問題点などがまとめられているほか、えん罪の原因を究明するための調査機関を設置することなど、日弁連の意見について書かれている。

会見で吉成務・副会長と河津博史・刑事調査室長は、つぎつぎと発覚するえん罪事件を問題視。2人はそれぞれ、「えん罪の防止は刑事司法でもっとも重要な課題」と述べた。

●えん罪の防止は「不十分」

平成29年の司法統計によると、裁判官が逮捕状の請求を却下したのはわずか0.1%ほど。また、不起訴になったとしても、犯罪の事実を認めたことになる「起訴猶予」となる割合が89.4%を占めている(平成29年検察統計年報)。

罪をおかしていない人が犯罪の疑いをかけられて逮捕されたり、「起訴猶予」になったりしたとしても、これを不服として争うことはできない。河津室長は「いまの刑事司法制度は、えん罪防止の観点からみると不十分」と指摘した。

グランドデザインは最高裁判所、法務省などの関係機関だけではなく、将来の法律家を養成する法科大学院などに送付するという。吉成副会長は「市民集会などでも配布し、市民に刑事司法の現状や問題点を知ってもらいたい」と話した。

(弁護士ドットコムニュース)

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