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風呂の湯量めぐる親子ゲンカ、父親を現行犯逮捕…家族間でも「暴行罪、傷害罪は成立」
遠慮のなさからエスカレートしがち(aijiro / PIXTA)

風呂の湯量めぐる親子ゲンカ、父親を現行犯逮捕…家族間でも「暴行罪、傷害罪は成立」

9月下旬、娘の顔を殴ったとして、父親で大阪府警の交番相談員の男性が暴行の疑いで現行犯逮捕された。毎日放送などの報道(9月24日)によると、逮捕された男性は自宅で、28歳の長女と風呂の残り湯が少ないと口論になり、平手で顔を殴ったという。

家族に対する暴力も、他人に対する暴力と同様に傷害罪に該当する可能性はあるのか。相手が家族と他人とでは、罪に違いはあるのだろうか。大和幸四郎弁護士に聞いた。

●相手が家族でも「暴行罪」「傷害罪」は成立

「相手が家族であっても、他人であっても、ともに暴行罪(刑法208条)、傷害罪(刑法204条)に該当し、罪に違いはありません。

たしかに、窃盗など比較的軽微な犯罪については、親族間の犯罪に関する特例があり(刑法第244条等)、相手が他人か家族によって取り扱いが違っています」

軽微な犯罪ではなぜ、相手によって取り扱いがちがうのか。

「刑法は法益として生命、身体、自由、名誉、財産の順に違いを設けています。生命が最も重く、財産は下位に位置付けられています。そういったことから、親族間の比較軽い財産犯については特例が設けられているのです。

ただし、財産犯でも、相手方の犯行を抑圧する程度の暴行または脅迫を手段として『財物』を強取する強盗罪には、この特例は適用されません」

●家族間でも「暴行や傷害は絶対にしないで」

暴行罪や傷害罪の場合、このような特例はないということか。

「暴行罪は身体に対しての法益侵害ですので、財産犯に対するような特例はありません。例えば、殺人の場合、他人であっても、家族であっても、殺人罪の成否には関係しません。

もっとも、家族間の暴力については他人とは異なった事情もあることから、裁判において情状面で考慮されることはあると思います。

家族間でも、暴行罪、傷害罪は成立します。暴行や傷害は絶対にしないでください」

(弁護士ドットコムニュース)

プロフィール

大和 幸四郎
大和 幸四郎(やまと こうしろう)弁護士 武雄法律事務所
佐賀県弁護士会。2010年4月~2012年3月、佐賀県弁護士会・元消費者問題対策委員会委員長。元佐賀大学客員教授。法律研究者、人権活動家。借金問題、相続・刑事・男女問題など実績多数。

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