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離婚を信じて不倫、妊娠したら捨てられた…「私、1人でバカみたい」と慰謝料を希望
画像はイメージです(Fast&Slow/PIXTA)

離婚を信じて不倫、妊娠したら捨てられた…「私、1人でバカみたい」と慰謝料を希望

既婚男性と結婚を前提に交際していた女性が、弁護士ドットコムに相談を寄せました。相手の「離婚する」という言葉を信じ、妊娠、中絶までしたと言います。

相談者は交際前から、男性に妻子がいることは知っていました。しかし「必ず離婚して結婚する」と指輪をプレゼントされ、「慰謝料や養育費などについても妻と話している」とも話されていたため、男性との結婚を信じていたそうです。

しかし、女性が妊娠すると状況は一変。相手の妻が全ての事情を知ると、相手は女性を見捨てて家庭に戻ってしまったのです。女性は中絶を選ばざるを得ませんでした。女性は別れた後、心身ともに体調が悪くなり、現在は精神科に通っています。「結婚もせず、出産もせず、精神科で投薬治療。私1人バカみたいですね」とこぼします。

女性は彼に対し「自分が行った言動の責任をとってほしい」と話していますが、既婚男性に対し慰謝料請求をすることが出来るのでしょうか。柳原桑子弁護士に聞きました。

●「離婚したら結婚しよう」は無効な約束

「相談者は婚約したと思っているのかもしれません。しかし既婚者と『離婚したら結婚する』と約束をしても、基本的には公序良俗違反で無効な約束です。婚約破棄に対する慰謝料の請求は難しいでしょう」

相手の言葉を信じて妊娠し、中絶までしています。そのことに対する慰謝料請求もできませんか。

「交際中、妊娠し中絶したとしても通常、慰謝料が認められることにはなりません。ただ、その後の男性の対応が悪いことなどを考慮して、中絶に対し慰謝料請求を認めた判例もあります」

●「男性は女性が受ける不利益を軽減し、解消するための義務を負う」

その判例はどのようなケースだったのでしょうか。

「妊娠発覚後、男性は出産に関する話し合いを避け、責任回避にはしり、女性は中絶せざるを得なくなったということで、慰謝料を請求した裁判でした。

裁判では、共同不法行為者間でも、男性は女性が受ける不利益を軽減し、解消するための行いをする義務を負うべきだと指摘しました。そして、これを行わないことは不法行為にあたるとして、慰謝料支払いの責任を負うとしました」

今回のケースではどうでしょうか。

「相談者の投稿からは、妊娠発覚後の相手の言動が明らかにはなっていませんが、妊娠するまでは情熱的に将来像を語っていたのが状況が一変したということです。その態様によっては、慰謝料請求が認められる可能性があるかもしれません。

今回のような相談は、一概には言えず、事例に応じた判断になります。合意で交際し、性交渉をしたとはいえ、一方があまりに不誠実で、他方の負担が大きいという状況であれば、慰謝料が認められる可能性はあります」

(弁護士ドットコムニュース)

この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいています。

プロフィール

柳原 桑子
柳原 桑子(やなぎはら くわこ)弁護士 柳原法律事務所
1998年弁護士登録 第二東京弁護士会所属 離婚事件・遺産相続事件などの家事事件、破産事件、不動産関係事件等を中心に、民事事件を扱っている。「離婚手続きがよくわかる本」、「よくわかる離婚相談」、「相続・贈与・遺言」、「離婚の準備・手続・ライフプラン」監修(いずれも池田書店)。

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