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有料駐輪場で自転車のロックが他人に外され、「放置自転車」扱いに…法的問題は?
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有料駐輪場で自転車のロックが他人に外され、「放置自転車」扱いに…法的問題は?

「有料駐輪場に止めていた自転車が撤去されてしまった」。こんな体験談を紹介した西日本新聞のコラム「デスク日記」が話題になった。

記事によると、福岡市が管理する有料駐輪場を利用した際の出来事だという。その迷惑な仕組みとは、駐輪場が満車の場合に、先に止めている他人の自転車のロックを外して、その自転車を放置して、自分の自転車を止めることだという。もし放置自転車として回収されてしまえば、2500円がかかってしまうという。

なんとも理不尽な話だが、このような形で他人の自転車のロックを勝手に外して、「放置自転車」にしてしまうことに法的な問題はないのだろうか。近藤公人弁護士に聞いた。

●損害賠償請求ができる

「自転車所有者は、実際に行為をした人(実行行為者)に対して、損害賠償請求ができます。

所有者と福岡市との間では、駐輪をする契約が成立しています。そこから第三者が動かす行為は、違法です。よって、被害者は実行行為者に対しては、実損害の回収費用2500円を請求ができます」

福岡市に対しては、損害賠償を請求できるのか。

「一般的には、免責条項があると思いますが、駐輪場の管理者が、重大な過失によって、実行行為者の行為を発見できなかったときは、福岡市に対しても、損害賠償を請求できます。ただし、今回のようなケースでは、重過失を立証するのは大変です」

なお、動かした人(実行行為者)を特定できた場合には、罪に問うことはできるのか。

「自転車所有者の利用を妨げているので、窃盗罪が成立しそうです。しかし、今回の実行行為者には、自転車を自ら利用したりする意思はないようですので、窃盗罪は成立しません。もしチェーンロックなどの鍵が壊されていれば、器物損壊罪に該当します。

そして、これらの行為で、福岡市は、駐輪場の通常の管理業務外の業務を行っています。その業務が大幅に増え業務を妨害しているのであれば、業務妨害罪が成立する余地があります」

(弁護士ドットコムニュース)

プロフィール

近藤 公人
近藤 公人(こんどう きみひと)弁護士 滋賀第一法律事務所
モットーは「依頼者の立場と利益を第一に」。滋賀県内では大きな法律事務所に所属し、中小企業の法務や、労働事件、家事事件など、多種多様な事件をこなしている。

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