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6300円のはずが「63万円」…間違って振り込まれたバイト代、もらっても大丈夫?
写真:xiangtao / PIXTA(ピクスタ)

6300円のはずが「63万円」…間違って振り込まれたバイト代、もらっても大丈夫?

先月辞めたバイト先から給料6300円が振り込まれる予定だったのに、63万円も入っていたーー。ネットの掲示板にこのような体験談が寄せられた。投稿者は喜びと同時に、「俺の金だよな?」と疑問の声をあげた。

これに対し「振り込まれた方が気づいてなかったらセーフだけど、明細確認して間違った額って認識してたらアウト」、「間違って振り込まれた場合、返済の義務はない」などのコメントが飛び交った。

投稿者は「知らないフリ」で押し通せると強気だが、もしバイト先から返金要求があった場合、返さないといけないのか。何も報告せずに懐に入れてしまったら、犯罪ではないのか。佐藤正知弁護士に聞いた。

●返還しなければいけない?

「アルバイトとして働く人とバイト先との関係は、労働契約という契約関係にあります。法的に言えば、労務の提供と給料が、対価関係にあります。

そのため、労務を提供した分を超えて給料は発生しませんので、給料の額である6300円を超えてお金を受け取ることができる根拠はありません。63万円との差額62万3700円を返還しなければなりません」

では、もしも返還しなかった場合には、罪に問われることになるのだろうか。

「誤振込の場合、通常は、これに気付いた振込依頼人が銀行に申し出ると、銀行は、受取人の承諾を得て、入金を取り消します。受取人が気付いて銀行に申し出た場合にも、銀行は、振込依頼人に確認し、同様の手続をとります。

このようなことから、銀行との関係でも、信義則上、本来の自分の預金額を超えてお金を下ろす正当な権限はないとされています。

もし誤振込に気付いたにもかかわらず、自分の預金額を超えてお金を下ろしてしまったら、銀行に対する『詐欺罪』として処罰されてしまいますので、絶対に下ろしてはいけません。素直に銀行に誤振込があったと申し出ましょう。

余談ですが、誤振込で本来の預金額よりも多い額に対して、これを知らずになされた差押えについては、有効であると判断されています」

(弁護士ドットコムニュース)

プロフィール

佐藤 正知
佐藤 正知(さとう まさとも)弁護士 横浜法律事務所
神奈川県弁護士会所属。2017年度神奈川県弁護士会副会長。労働者側の労働事件を中心に取り扱う。日本労働弁護団常任幹事。神奈川過労死対策弁護団幹事長。過労死等防止対策推進全国センター幹事。著書「会社で起きている事の7割は法律違反」(共著・朝日新聞出版)等。

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