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教師が中3女子を児童買春 「14歳だと思わなかった」は通用するか
児童買春事件で逮捕された教師は「14歳とは思わなかった」と供述しているという

教師が中3女子を児童買春 「14歳だと思わなかった」は通用するか

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兵庫県の中学校に勤務する41歳の男性教諭が4月下旬、出会い系サイトで知り合った女子中学生と性的な関係を持ったとして、児童買春・児童ポルノ禁止法違反の疑いで大阪府サイバー犯罪課に逮捕された。

時事通信などによると、男性教諭は昨年12月、ネット掲示板で知り合った当時14歳の女子中学3年生と大阪市内のラブホテルに入り、2万円を渡してわいせつな行為をした疑いがもたれている。別の児童買春事件を捜査するために女子中学生の携帯電話を調べたところ、この男性教諭が浮かび上がったという。男性教諭は調べに対し「14歳とは思わなかった」と供述している模様だ。

たしかに、最近は大人っぽい女子中学生も多く、化粧をすれば見た目は18歳以上と区別がつかないケースもあるだろう。このような場合、「未成年だと思わなかった」という主張はどこまで通用するのか。児童買春事件に詳しい奥村徹弁護士に聞いた。

●「年齢を知らなかった」という主張が通る可能性もあるが・・・・

「児童買春罪(児童買春法4条)は、相手が18歳未満であることを知っている場合にのみ成立します。男性教諭の主張は不明確ですが、仮に『18歳未満だとは知らなかった』という弁解が通れば、この罪は成立しません」

このように奥村弁護士は解説する。

「もともと、他人の実年齢を、外見だけで当てるというのは困難です。医学文献によれば、女性は14~15歳で第二次性徴がほぼ発現してしまいます。この年齢を超えると、18歳以上かどうかを外見から見極めるのは非常に困難になります。14歳の女児を18歳と見違える可能性は否定できません」

それでは、「知らなかった」と言い張れば、罪に問われない?

「いえ、そうとは言えません。捜査実務では、体型や制服など児童特有の外見、またサイトやメールでの児童であるという年齢の表示、学校の話題など児童特有の言動等によって、その年齢を知ることができたと立証されています。また捜査官からは厳しく追及されます」

逆に無罪になったケースもある?

「はい。2007年の東京地裁判決では、当時16歳だった被害児童の証言内容が途中で変わったことなどから、『性行為前に17歳だと告げた』という証言は信用できないとされました。また、この児童は事件当時、髪を金髪に染め、前髪を額の所で一直線に切りそろえ、肌も日焼けしていたなど、外観が実年齢よりも上に見える余地も十分にありました。さらに、出会い系サイトやその後のメールでの交渉段階では『18歳』と自称していたことなどを考慮して、最終的に『年齢を知っていたとは言えない』と判断されて、無罪となりました」

では、きちんと年齢確認をした方が良い?

「児童買春法の観点からすれば、相手の年齢を十分確認して、18歳未満とは関わらないようにする必要があるとはいえます。ただ、出会い系サイトでの年齢確認はずさんですし、そもそも売買春は違法行為(売春防止法3条)ですから、正確な身分確認は期待できません。結局、売買春はしない方がいいという当たり前の結論になります」

確かに、事実として児童買春を行ってしまえば、仮に「年齢を知らなかったから無罪」とされても、被告に同情が集まるとも思えない。ここは素直に奥村弁護士のアドバイスに従っておくべきだろう。

(弁護士ドットコムニュース)

この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいています。

プロフィール

奥村 徹
奥村 徹(おくむら とおる)弁護士 奥村&田中法律事務所
大阪弁護士会。大阪弁護士会刑事弁護委員。日本刑法学会、法とコンピューター学会、情報ネットワーク法学会、安心ネットづくり促進協議会特別会員。

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