間違った法解釈を直し、正しい解釈を普及させる〜児童ポルノ・児童買春「福祉犯罪」弁護のエキスパート
”変な法律”だからこそ地道に法律の穴を埋めていく
ーー弁護士を目指したきっかけを教えてください。
弁護士を目指した理由は、親の勧めです。中央大学の法学部に進学して受験団体に入り、司法試験の対策をしていました。キャンパスは八王子で、当時は茅葺き屋根の家もあるような田舎。周りに遊ぶところはなく、勉強に打ち込む毎日でした。
ーー注力分野と、その分野に注力している理由を教えてください。
注力分野は児童ポルノ・児童買春をはじめとする福祉犯罪です。
国選弁護で児童買春・児童ポルノ禁止法違反で起訴された被告人を担当したことをきっかけに、同種の事件の弁護を多く担当するようになりました。
児童買春・児童ポルノ禁止法は変な法律だと考えていたので、控訴・上告して争っているうちに次々と依頼が入ってきました。気づいた時には前にも後ろにも誰もいない、福祉犯罪の専門家のようになっていました。
ーー”変な法律”ということですが、なぜそう思われるのですか?
児童買春・児童ポルノ禁止法は、本来法律を作るときに議論されて解決されるべきことが全く議論されていません。穴だらけの法律で、正確な解説書もありません。曖昧になっている部分を判例の積み重ねで埋めていくという状況が、今でも続いています。
ーー仕事をする中で心がけていることを教えてください。
適用される法令を間違えないことです。
執行猶予でも罰金でも実刑でも、被告人は適用された法令によって刑に服することになります。福祉犯罪は法律が穴だらけだからこそ、いい加減な法律の解釈で刑に服することになるのはあってはならないと考えています。
児童ポルノの事件はネット犯罪なので、全国どこでも起こります。今の刑事司法の体制としては、児童ポルノが発見された地域を管轄する裁判所で裁判がおこなわれます。
担当した弁護士や裁判官が福祉犯罪に詳しくないために、ミスが起こることも多いです。いい加減な法律の解釈で被告人が刑務所に行くことになるのは気の毒なので、「それは間違っている」と具体的な判例を挙げて指摘することもあります。嫌がられますけどね(笑)。
ーー弁護士として活動してきた中で印象的だったエピソードはありますか?
具体的なエピソードではないですが、事件に熱心な弁護士と出会えると嬉しいです。児童ポルノの事件は年間2000件ほどしかなく、通常、1人の弁護士が何度も担当することはありません。
経験は少ないけれど熱心に事件に取り組んでいる弁護士や、弁護活動をするうえで困っている弁護士などから、事件について相談されることがあります。僕からアドバイスした結果、無罪になったり罪が軽くなったりした事例もあり、そういう出会いは嬉しいですね。
法令の正しい解釈を普及させたい。何かあったら早めの相談を
ーープライベートについても伺います。休日はどのように過ごされていますか?
園芸です。家庭菜園をやっています。
野球チームに所属しているとか言ったら面白いかもしれないけど、僕は裁判官と一緒で、群れないタイプなので(笑)。
趣味は自転車で、毎日自転車で通勤しています。
運動不足解消のために、出張先でも自転車に乗ることが多いです。裁判所は城下町にあることが多く、出張先で城下町をサイクリングして新幹線で帰る、という過ごし方をすることもあります。
ーー先生の今後の展望についてお聞かせください。
福祉犯罪には法令の解釈の間違いが多いので、これまでと変わらず、それを正していくこととを続けたいです。法令自体が児童や青少年を保護する主旨で作られているものなので、その主旨に則った正しい解釈を普及させたいと思っています。
個人的には、これまでの成果を論点ごとにまとめたい気持ちもありますが、自分の説が文献に固定されてしまうのは弁護士として得策ではないでしょう。最高裁の判例集に弁護人奥村徹としての主張が全部載っているので、それでいいかなと思っています。
ーー最後に、法律トラブルを抱えて悩んでいる人へメッセージをお願いします。
福祉犯の被疑者へのメッセージになりますが、重要なのは早めに弁護士に相談することです。
僕の場合はネットで検索すれば電話番号やメールアドレスがすぐ分かるので、全国から連絡がきます。携帯電話の番号も公開しています。気軽に連絡してくる人が多くて、相談の敷居が低すぎる気もしますが。
相談内容によっては、わざわざ大阪の事務所まで来てもらわなくても、メールや電話だけで解決することもあります。相談してもらうことで、地元の弁護士でも対応可能か、自分にしか対応できないかの判断もできます。
逮捕・起訴を回避するにはどうすればいいか、といった、当番弁護士が知らないこともアドバイスできるので、逮捕される前に、電話やメールで少しでも話せれば結果は変わってくると思います。