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「少しくらいなら…」軽い気持ちでアワビ密漁、どんな罪に? 弁護士が解説「拘禁刑や罰金」のリスク
全国各地で密漁を禁止する看板が掲げられている(撮影:弁護士ドットコムニュース編集部)

「少しくらいなら…」軽い気持ちでアワビ密漁、どんな罪に? 弁護士が解説「拘禁刑や罰金」のリスク

この夏、山形県鶴岡市や酒田市の海岸で、漁業権がないのにサザエやアワビなどをとったとして、男女16人が密漁の疑いで酒田海上保安部に検挙されました。

NHKや山形放送などによると、検挙された人たちは「家族で食べる分くらいならいいだろう」や「バーベキューで友人と食べよう」などと供述したといいます。

サザエやアワビの密漁は後を絶たず、今回のように軽い気持ちで及ぶケースも少なくありません。密漁における法的リスクについて、岡本裕明弁護士に聞きました。

●アワビ密漁は「拘禁刑」や高額罰金も

──密漁はどのような法律に違反するのでしょうか。

サザエやアワビの密漁は、漁業法違反にあたります。

アワビは、漁業法施行規則41条で、ウナギの稚魚、ナマコとともに「特定水産動植物」とされ、同法132条1項で、採捕が禁止されています。これに違反した場合、同法189条1号で「3年以下の拘禁刑」または「3000万円以下の罰金」が科されます。

一方、サザエの密漁は、漁業権の侵害となり、同法195条で「100万円以下の罰金」と定められています。

──漁業権侵害とはどのような行為ですか。

漁業権とは、漁業を営む権利です。土地の所有権と同じく「物権」とみなされます(漁業法77条)。

共同漁業権の場合は、誰か一人にその場所での漁業を独占させるものではありませんが、漁業協同組合などによって団体的におこなわせることを内容とするものです。したがって、その団体が免許した人だけ漁業を営めます。

サザエを採ることは「第一種共同漁業」にあたり、藻類や貝類など定着性の水産動物が対象です。これを勝手にとってしまうと、それだけ漁場の価値が下がることになりますから、漁業権が侵害されることになるのです。

同じ理由で、藻類や貝類にあたらないものでも、イセエビやウニなどをとってしまうと、漁業権侵害の罪が成立することになります。

●魚釣りも場合によっては違法になり得る

──魚釣りも違法になり得るのでしょうか。

魚類なら自由に釣っていいというわけではありません。漁業権には、共同漁業権のほかにも、「定置漁業権」や「区画漁業権」などがあり、これを侵害するおそれがあるからです。

たとえば、網を設置して魚をとれば、定置漁業についての漁業権を侵害することになるでしょうし、養殖されている魚類をとった場合、区画漁業についての漁業権を侵害することになります(養殖されているものについては、場合によっては単純に窃盗罪が成立することも考えられるでしょう)。

釣り竿を使って魚を釣る場合でも、漁業調整規則というものが各都道府県において定められており、魚類などをとることが禁止されている区域や時期、対象となる魚類のサイズなどが規定されています。

貝類などをとる場合と比較すると、違法とされている対象は制限されているものの、ご自身の行為が適法な内容といえるのかについて十分に確認する必要があるでしょう。

●安易な密漁が「前科」につながることも

──毎年、密漁する人は後を絶ちません。

サザエやアワビを見つけると、「少しなら」と手を伸ばしたくなる気持ちは理解できます。窃盗罪のように「他人の物を盗む」という意識も薄いため、軽い気持ちで密漁してしまう人が多いのだと思います。

しかし、漁業法違反もれっきとした犯罪であり、前科がついてしまう可能性もあります。

漁業法は、水産資源の持続的な利用を守り、漁業の発展を図るための法律です。密漁を繰り返すことによって、サザエやアワビを将来も食べられるようにするためにも、ルールをしっかりと守ることが求められます。

この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいています。

プロフィール

岡本 裕明
岡本 裕明(おかもと ひろあき)弁護士 弁護士法人ダーウィン法律事務所
刑事事件及び労働事件を得意分野とし、外国人を被疑者・被告人とする事件を多く取り扱っている。多数の裁判員裁判も経験している一方、犯罪被害者の代理人として、被害者参加等も手掛ける。

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