夏の昆虫といえばカブトムシ。大人にも人気ですが、それだけにカブトムシにまつわるトラブルも尽きません。弁護士ドットコムには、カブトムシを捕まえようとしたらご近所とトラブルになったという人から相談が寄せられています。
相談者はご近所の家の壁にとまっていたカブトムシを捕ろうとしたところ、その家の住民から「泥棒!警察に突き出してやる!」と言われたそうです。
相談者がそのカブトムシは住民が飼育していたものかと尋ねたところ、飼っていたものではなく、自然のカブトムシだったとのこと。相談者は本当に住民が言うとおりに「窃盗」になってしまうのか、気になっているようです。
自然のカブトムシなのに、捕まえたら本当に「泥棒」になるのでしょうか。
●案外複雑な昆虫採集のルール
自然の中にいるカブトムシは、誰の所有物でもないので、窃盗罪(泥棒)にはあたらないでしょう。ただし、無断で他人の敷地に入ることは、住居侵入罪などにあたる可能性があります。
これ以外にも、昆虫採集には注意が必要です。
まず、国立公園や国定公園の特別地域では、生息を脅かさないよう、採集や殺傷が禁止されている昆虫がいます。国立公園や国定公園でなくても、自治体の条例により、特定の昆虫の採集が禁止されているケースもあります。
また、一般的なカブトムシやクワガタも、大量捕獲により生態系が破壊されるのを防ぐため、ライトトラップ(夜間に照明器具を使って昆虫を採集する方法)の使用を禁じている自治体もあります。自治体の公園内であっても、昆虫の採集自体を禁止しているところも少なくありません。
カブトムシを捕まえてうれしいという気持ちはわかりますが、昆虫は捕獲場所や採集方法には十分な注意が必要です。捕まえてよい場所や捕まえてよい昆虫の種類などを国や自治体の公式サイトを事前にチェックしておくと良いかもしれません。
(監修:濵門俊也弁護士)