人気お笑いトリオ「ジャングルポケット」の斉藤慎二氏が、2024年7月にロケバスの中で20代女性に性的暴行を加えたとして、不同意性交などの疑いで在宅起訴されました。
報道によると、斉藤氏の認否は明らかになっていませんが、裁判で有罪となれば、実刑はまぬがれないという予想も報じられています。斉藤氏は今後どうなってしまうのでしょうか。
●不同意性交罪は「5年以上」
今回の容疑である「不同意性交罪」は刑法177条で定められています。
法定刑、つまり刑罰は「5年以上」の有期懲役(今年6月からは拘禁刑)とされています。また、執行猶予は「3年以下」でないと付かないとされています(刑法25条1項柱書)。
有罪になった場合、そのままでは執行猶予が付けられないので、実刑といわれているのです。実刑をまぬがれるためには、「3年以下」まで減軽してもらうしかありません。
刑法では、この「減軽」についても定めており、たとえば示談が成立したり、加害者にもかわいそうだと思われる事情があれば「減軽」してもよいことになっています(刑法66条)。
なお、減軽される場合には有期懲役であれば2分の1になります(刑法68条3号)。
●減軽が認められない場合→実刑確定
仮に、斉藤氏が同意があったと主張して、公訴事実につき否認している場合、裁判所が斉藤氏の主張どおりに同意があったと判断するか、あるいは「同意がなかったという認定には合理的な疑いが残る」と判断すれば、無罪となります。
一方で、有罪判決が下される場合には、原則として最低で懲役5年という判決になります。 減軽事由が何か認められない限りは、実刑となります。
報道によると、被害者の女性は「許すことは絶対にできません」と話しているそうです。
こうした状況で、仮に斉藤氏が否認しているようならば、いっそう示談が難しくなります。 そうすると、示談が成立しているということを理由とする減軽はおこなわれないことになりますので、実刑の可能性が非常に高くなります。
もちろん、示談の成立以外の理由で減軽を主張していくことも考えられます。今後、斉藤氏がどのような主張をするのか注目されるところです。
●「不同意性交罪」と「不同意わいせつ罪」の2つで起訴→より重く処罰される?
なお、報道によると、斉藤氏は「不同意性交罪」のほか、「不同意わいせつ罪」(刑法176条、6カ月以上10年以下の懲役)でも起訴されているようです。
不同意わいせつ罪というのは、不同意性交等罪(性交のほか、口淫なども含む)以外のわいせつな行為を、一定の手段を用いてする犯罪と理解しておけばよいでしょう。
普通は、不同意性交罪で起訴された場合、これと同一の機会におこなわれたわいせつな行為は、不同意性交罪一罪で評価されます。
そこで、わざわざ不同意性交罪のほかに、不同意わいせつ罪でも起訴したということであれば、ロケバスの中での問題となった行為とは別の機会に、わいせつな行為がおこなわれていた疑いが持たれている可能性があります。
現段階では、どのような事実について起訴されているのかがわからないことには注意が必要ですが、仮に、この2つの犯罪が成立したと認められてしまうと、両者は併合罪(刑法45条前段)として、より重く処罰される可能性があります(刑法47条)。
そうなると、実刑の可能性がますます高まることになります。