酒を飲んで酔っ払い、近くに止まっていた無人のパトカーに無断で乗り込んでしまったという人から、弁護士ドットコムに相談が寄せられた。
相談者によると、その場で警察官に謝罪し帰宅したものの、後日、警察署に呼び出されたという。
酒に酔っていて当時の記憶があまりないそうで、「公務執行妨害で逮捕されるのでしょうか」と心配しています。小野智彦弁護士に聞きました。
●「公務執行妨害罪」は成立しないが…
公務執行妨害罪が成立するためには、警察官に対して暴行または脅迫を加えることが構成要件となっています。本件では、相談者の記憶にある限りでは、無人のパトカーに乗り込んだだけということになりますので、警察官に対しての暴行または脅迫はなく、公務執行妨害罪にはならないこととなります。
ただ、記憶がないだけで、パトカーに無断乗車し、警察官に連れ出されようとされたときに暴力的な抵抗や暴言を吐いている可能性もありますので、その場合には公務執行妨害になり得ます。
仮に、そのようなことがなかった場合であっても、パトカーに無断乗車したことによって、警察官の手を煩わせる恐れがあれば、威力業務妨害罪になりえます。
おそらく、酔った上でのことですので、逮捕までされることはないと思いますが、逆に呼出に応じないと「逃亡の恐れあり」ということで逮捕される可能性があるので、素直に呼出に従っておくのがよろしいかと思います。