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「ガリガリ君」ニセの当たり棒で逮捕、ポケモンカード「ゲット」できなかった会社員の罪
大人なガリガリ君ゴールデンパイン(ポケモンver)/赤城乳業提供

「ガリガリ君」ニセの当たり棒で逮捕、ポケモンカード「ゲット」できなかった会社員の罪

「ガリガリ君」のニセの当たり棒を使って、製造元の赤城乳業(埼玉県深谷市)から「ポケットモンスター」(ポケモン)の景品をだまし取ろうとしたとして、秋田県鹿角市の会社員が1月6日、詐欺未遂の疑いで埼玉県警に逮捕された。

ガリガリ君の当たり棒をめぐっては、フリマアプリで、1本あたり数万円という高額で転売されているものもあることから、ネット上では、今回の事件について「笑えない」という声があがっている。

●大人なガリガリ君のキャンペーン景品だった

県警によると、逮捕された会社員は昨年11月上旬ごろ、赤城乳業あてに、氷菓(ガリガリ君)の当たり棒のようなもの25本を郵送して、キャンペーンの景品(ポケモンのカード)をだまし取ろうとした疑いがもたれている。NHKによると、会社員は容疑を否認しているという。

ガリガリ君の当たり(棒に焼印)は、値段によって景品がことなっている。

ふつうの「ガリガリ君」シリーズ(税別70円)は同じものがもう1本、「大人なガリガリ君」シリーズ(税別100円)はキャンペーングッズ、「ガリガリ君リッチ」シリーズ(税別140円)はオリジナルTシャツなどがもらえることになっている。

赤城乳業によると、今回、「大人なガリガリ君」(ゴールデンパイン)のマルチパック(6本入り)の当たり棒が大量にキャンペーン事務局に届いたことから、不正の疑いがあるとして、県警に相談していた。

同社広報は、弁護士ドットコムニュースの取材に「これまで、このような事案を認識したことがなく、警察に相談したのは初めてだった」と話す。最終的には、県警が、これらの当たり棒が「偽物」だと判断したという。

●偽造の場合は「無印私文書偽造罪」も成立する?

文字通り、ポケモンカードを"ゲット"できなかったわけだが、どのような罪に問われるのか。西口竜司弁護士が解説する。

「景品をだましとろうとして、偽造した『当たり棒』を提出した場合、詐欺(未遂)罪にあたります。また、赤城乳業が作成したかのように思わせる『当たり棒』をつくる行為は、無印私文書偽造罪が成立する可能性があります。このような行為は許されません。1本1本、祈りを込めて買ってください」(西口弁護士)

●1本数万円で取引きされている

また、赤城乳業は公式ウェブサイト上で「当り棒の偽造品がフリマサイト・フリマアプリ等で出品されている可能性がございます。ご購入されないよう、ご協力何卒宜しくお願い申し上げます」と呼びかけている。

実際、フリマアプリのメルカリをのぞいてみると、1本数万円で取引されている当たり棒もあった。

赤城乳業によると、ポケモンとコラボする商品(ガリガリ君)は人気になっているという。なお、ガリガリ君の売上本数、当たり本数はともに未公表だが、当たりについては「景表法にのっとっている」(同広報)ということだ。

プロフィール

西口 竜司
西口 竜司(にしぐち りゅうじ)弁護士 神戸マリン綜合法律事務所
大阪府出身。法科大学院1期生。「こんな弁護士がいてもいい」というスローガンのもと、気さくで身近な弁護士をめざし多方面で活躍中。予備校での講師活動や執筆を通じての未来の法律家の育成や一般の方にわかりやすい法律セミナー等を行っている。SASUKE2015本戦にも参戦した。弁護士YouTuberとしても活動を開始している。今年からXリーグにも復帰した。

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