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お年玉あずけた「お母さん銀行」の"着服"が発覚…返金してもらえる?
画像はイメージです(yamasan/PIXTA)

お年玉あずけた「お母さん銀行」の"着服"が発覚…返金してもらえる?

「お母さん銀行」や「お父さん銀行」に預けたお金が戻ってこない――。正月のお年玉をめぐって、ネット上ではそんな投稿がちらほらと見受けられます。

お年玉をもらった子どもに「大人になるまで貯めておいてあげる」「貯金してあげるから渡しなさい」と、親がささやいて設立された「銀行」のことです。

もちろん、大人になるまで貯めてくれる「銀行」もあるでしょうが、知らないうちに生活費や家のローンに使われたという声も多数あがっています。

●お年玉は「子どもの財産」だ

はたして、お母さん銀行やお父さん銀行に預けたお年玉は返してもらえるのでしょうか。

「お年玉は、子どもがもらったものですので、子どもの財産です。したがって、お金を返してもらうことができます」

浮田美穂弁護士はこのように説明します。そもそも、お母さんやお父さんが管理することは問題ないのでしょうか。

「親は子どもの財産を管理する権限があります(民法824条)。ですから、親は子どものお年玉を預かって、管理することができます。しかし、"勝手に使ってもよい"という意味ではありません」

どういう場合、"勝手に使った"ということになるのでしょうか。

「たとえば、遊興費などに使用することは、財産管理権や親権の濫用にあたります。この場合、子どもは、お金を返してもらうことができます」

子どもの食費や学費に使った場合はどうでしょうか。

「家庭の経済状況や、どのような品目に支払ったのかといったことがポイントになります。

そもそも養育費は親が負担すべきもので、子どもが負担するものではありません。ですから、学費や子どもの食費をお年玉から出すのは、不適切だといえます。

一方で、お年玉を貯めて、進学費用の一部にあてる家庭もあります。その場合、家庭の経済状況によっては、財産管理権の濫用とは言えないと思います」

プロフィール

浮田 美穂
浮田 美穂(うきた みほ)弁護士 弁護士法人兼六法律事務所
2002年、弁護士登録。2010年度金沢弁護士会副会長。著書に 「ママ弁護士の子どもを守る相談室」(2013年、一万年堂出版)。

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