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2021年01月11日 09時48分

深夜にドアを殴りつけ「出てこい!いるんだろ!」見知らぬ酔っ払い男の奇襲…恐怖で不安な日々

深夜にドアを殴りつけ「出てこい!いるんだろ!」見知らぬ酔っ払い男の奇襲…恐怖で不安な日々
写真はイメージです(プラナ / PIXTA)

「深夜に見知らぬ酔っ払いの男性がやってきたことを機に、不安な毎日が続いています。引っ越し費用を請求できますか」。弁護士ドットコムに、一人暮らしをしている女性から、このような相談が寄せられている。

相談者は、23時から1時ごろ、自宅マンションのドアをガチャガチャと開けようとする音が聞こえた。インターホン越しに確認すると見知らぬ男性だったため、ドアを開けなかった。

すると、男性はドアを殴りつけ「出てこい!いるんだろ!」などと叫び始めた。身の危険を感じた相談者はすぐに警察に通報。男性はドアの前から姿を消したが、近くで騒いでいたため、警察にみつかったという。

男性が部屋を間違えたか、前の住人の知り合いである可能性もあるが、相談者は「酔ったらまた来るのでは」と不安を抱いている。引っ越すことも検討しているようだ。

そもそも、泥酔した状態で他人の家に入ろうとした場合は罪に問われないのだろうか。また、相談者は男性に引っ越し費用などを請求できるのだろうか。坂口靖弁護士に聞いた。

●「犯罪」は成立する?

ーー今回のケースでは、相談者がドアを開けなかったため、泥酔した男性は部屋に入ってくることはなかったようです。無理やり中に入ろうとする行為はなんらかの罪に問われる可能性はあるのでしょうか。

まず考えられる犯罪としては、マンション内に侵入している点をとらえて、建造物侵入罪(刑法130条)が成立する可能性があるように思われます。

また、住居のドアを開けようとしている点をとらえて、住居侵入未遂罪(刑法130条、132条)が成立する可能性もあるでしょう(3年以下の懲役または10万円以下の罰金)。

なお、私が弁護士をしている千葉県等では、いわゆる迷惑防止条例において、「何人も、呼鈴等を利用して、みだりに訪問者を装つて、呼出しをする等の悪戯で、著しく不安又は迷惑を覚えさせるような行為をしてはならない」(12条)と規定されています。これに違反したとされ、5万円以下の罰金刑となる可能性もあるように考えます。

もっとも、相手方も居住しているマンションであった場合には、建造物侵入は成立しないものとも考えられます。また、酔っぱらって相談者の家を自宅等と誤解していたような場合にも、住居侵入未遂等は成立しない可能性もあるように思われます。

ーードアを殴る行為については、いかがでしょうか。

ドアが損壊等していないかぎり罪に問うことは難しいでしょう。

●引っ越し費用の請求などは「法律的には、難しい」けれど…

ーー相談者は不安を抱き、引っ越しを検討しています。泥酔した男性に対し、謝罪の要求などはできるのでしょうか。

法律的には、難しいと思われます。

この点、相手方の行為は、民法上の不法行為(民法709条)が成立しますが、民法では、原則的に損害賠償請求という金銭請求ができることが認められているのみであって、「謝罪をさせる」というような行為を求めることは規定されていません。

したがって、民事裁判手続等によって、法律的に相手方に謝罪をさせるということは難しいということにはなります。

ーー引っ越し費用の請求も難しいのでしょうか。

引っ越し費用の請求については、お気持ちは大変理解できる面もありますが、たった1回の深夜の訪問行為のみでは、引っ越しをすることの必要性、相当性が認めがたく因果関係を認めることが困難だといえます。そのため、相手方に引っ越し費用を負担させるということは法律的には難しいと考えられます。

ただし、深夜の訪問行為が何度も繰り返される等の事情がある場合には、引っ越し費用も因果関係がある損害として、請求が認められる可能性も出てくるとも考えられます。

他方で、前述のような一定の犯罪として被害届を提出するなど、刑事手続きに乗せることができた場合においては、相手方においても刑事処罰を受けたくないという気持ちから、自主的に謝罪や示談を希望してくることは想定できるところです。

このような場合においては、その示談交渉の中で、謝罪や再発防止策、場合によっては引っ越し費用も含めて示談をするということができる可能性も十分にあるかと思います。

したがって、何らかの犯罪行為に該当する可能性のある行為によって被害を受けたような場合には、原則的に被害届を提出するなど、刑事手続きに乗せておくということがとても重要であるものと考えられます。

取材協力弁護士

坂口 靖弁護士
大学を卒業後、東京FM「やまだひさしのラジアンリミテッド」等のラジオ番組制作業務に従事。その後、28歳の時に突如弁護士を志し、全くの初学者から3年の期間を経て旧司法試験に合格。弁護士となった後、1年目から年間100件を超える刑事事件の弁護を担当。以後弁護士としての数多くの刑事事件に携わり、現在に至る。

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