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痴漢冤罪「弁護士が来るまで警察と一言も話すな」冲方丁さんや周防監督らが議論
映画監督の周防正行さん(左)と作家の冲方丁さん

痴漢冤罪「弁護士が来るまで警察と一言も話すな」冲方丁さんや周防監督らが議論

満員電車でいきなり「この人、痴漢です」と手をつかまれたらどうしたらいいか−−。痴漢えん罪事件をテーマにして、日本の司法制度の問題点を描いた映画『それでもボクはやってない』の周防正行(すお・まさゆき)監督のアドバイスはズバリ、「その場にとどまって、弁護士を呼ぶこと」だ。

周防監督のこのアドバイスがあったのは、8月29日夜に都内のライブハウスで開かれたトークイベントでのこと。本屋大賞に輝いた『天地明察』で知られる作家で、妻に対する傷害容疑で逮捕された冲方丁(うぶかた・とう)さんが、留置所生活についてつづった手記『冲方丁のこち留 こちら渋谷警察署留置場』の出版を記念したものだった。

冲方さんは昨年8月、都内のマンションのロビーで、妻を殴ってケガをさせた疑いで逮捕された。当時、ベストセラー作家による「DV事件」として報じられて、大きく注目をあつめた。冲方さんは、9日間の勾留後に処分保留で釈放されて、その後、不起訴処分となっていた。

冲方さんはイベントで、DVについて「無実」であることを強調した。現在、妻とは離婚に向けた話し合いをおこなっていることを明かした。さらに、警察に連行されたときの様子を「まるで人さらいだった」などとユーモアを交えながら、事件を振り返った。

●「駅事務室にいかないこと」

イベントには、冲方さんと周防監督のほか、冲方さんの弁護人をつとめた小松圭介弁護士と水橋孝徳弁護士も登壇した。「満員電車でいきなり『痴漢です』と手をつかまれたらどうしたらいいか」という話になると、周防監督は「その場にとどまって弁護士を呼ぶことだ」と述べたうえで、次のように話した。

「よく『逃げろ』というけども、逃げているときに混んでるホームで誰かにぶつかってケガをさせたら傷害事件になる。また、逃げて捕まると、逃げたということが自分が犯人であることの証明しているようになってしまう。だから、逃げるんじゃなくて、その場にとどまって、弁護士を呼ぶこと。そして駅事務室にいかないことだ」(周防監督)

ファンとの交流イベント後にあらわれた刑事から「署まで同行願えませんか」といわれて、パトカーに乗り、そのまま逮捕されてしまったという冲方さんは「僕はイベント会場から動かなかったら良かったんですね」とジョークを飛ばしながらも、納得した表情だった。

水橋弁護士は「自分から付いて行くとダメ。あとで裁判になったときに、『付いていくことに納得したでしょ』という評価を受ける」と説明。小松弁護士は「弁護士がくるまで捜査機関と一言も話をしないこと。それまでに話したり、供述調書にサインしたら、取り返しがつかなる可能性がある」と補足していた。

(弁護士ドットコムニュース)

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