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<ろくでなし子裁判>「女性器モチーフの作品は多く存在している」美術史家が証言
上智大学の林道郎教授

<ろくでなし子裁判>「女性器モチーフの作品は多く存在している」美術史家が証言

わいせつ物公然陳列罪などで起訴された芸術家・漫画家「ろくでなし子」こと五十嵐恵被告人の第6回公判が11月20日、東京地裁(田辺三保子裁判長)で開かれ、弁護側の証人尋問が行われた。

裁判の争点は、女性器をかたどってつくった「デコまん」と呼ばれる作品や、女性器をスキャンしてつくった3Dプリンタ用のデータが、刑法の「わいせつ」にあたるかという点だ。弁護側の証人として、美術史家・美術批評家の林道郎・上智大学教授が出廷し、「ポルノと芸術の関係」について意見を述べた。

林教授は、女性器をモチーフにした作品が美術史において多く存在することを指摘。「フェミニズムとしての意味を持つ作品が多い」と語った。デコまんや3Dプリンタ用データも「これまでの多くの芸術家たちが作ってきた美術史の作品の延長線上にある」と述べた。

公判後の報告集会で、林教授は今回の裁判の意義について、次のように語った。

「この問題は彼女一人の問題ではなくて、これからの表現者すべてに関わる問題だ。ろくでなし子さんが有罪になると、性器をモチーフにして作品を作っただけで『わいせつ』という先例ができてしまう。

わいせつの概念は主観的で、その時代の裁判官の恣意的な判断で決まってしまう。ここで有罪判決が判例になってしまうと、その判例に基づいてどんどん悪い判決が出ることになりかねない。ここはちゃんと、せき止めておかないといけない」


11月24日の次回公判は、五十嵐被告人への質問が予定されている。

(弁護士ドットコムニュース)

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