国内最大級の出会い系サイト「ハッピーメール」の運営会社の社長ら男性3人が11月下旬、売春防止法違反のほう助の疑いで、京都府警に逮捕された。売春のやり取りが行われていることを知りながら、掲示板の書き込みを削除しなかったという疑いがもたれている。
報道によると、京都府警が10月に同社を家宅捜索した。その際、サイトの利用者が書いた「援交」という言葉を「○交」と書き換えるなど、違法性が高い書き込みの一部を伏せ字にして、対策を取っているように装うことを指示するマニュアルなどが見つかったという。
京都府警の調べに対して、社長は「伏せ字にすれば問題ないと思っていた」「逮捕に納得できない」などと供述して、容疑を否認したという。京都府警は、このサイトが少女らの売春の温床になっていた疑いがあるとみて、実態を調べているようだ。
京都府警は、どんな根拠で出会い系サイトの社長らを逮捕したのか。また、その捜査手法に問題はないのか。奥村徹弁護士に聞いた。
●「出会い系サイト規制法」はどう定めているか?
「今回摘発されたサイトは、『インターネット異性紹介事業』に該当します。
『出会い系サイト規制法』は、児童以外の者による売春を誘引する書き込みや、児童買春もしくは淫行をあおる書き込み、わいせつ図画等をインターネット異性紹介事業の掲示板に掲載する行為について、書き込みの削除等の措置を講じる義務を定めています」
奥村弁護士はこのように切り出した。今回のケースでは、どうだったのだろうか。
「出会い系サイトの実態としては、売買春に関する書き込みが多くみられます。したがって、『援交』などの売春勧誘文言について『○交』としても、売春勧誘である趣旨が理解できますので、同法の防止措置としては不完全と思います。
『出会い系サイト規制法』に違反して放置した場合、公安委員会から『指示』(同法13条)を受け、その『指示』に違反した場合に罰則(同法32条3号)が用意されています。
しかし、放置しただけでは、罰則は適用されないことになっています」
●「法的責任が曖昧なまま強制捜査が行われている」
今回は、売春防止法違反の『ほう助』の疑いで摘発されている。
「出会い系サイト上に、売春を示す書き込みをすることは、勧誘(売春防止法5条1号)ないし誘引(同条3号)に該当します。
ただ、それを放置したサイト管理者について、どのような場合に法律上の削除義務が生じるのか、削除しない場合にどのような刑事責任(正犯かほう助か)が発生するのかについては、明文の法律がなく、判例も定まっていません」
今回のような出会い系サイトの運営会社は、どのような点に気をつけるべきなのだろうか。
「管理しているサイトに違法な情報が掲載された場合、法的責任が曖昧なまま、強制捜査が行われています。
管理者としては、できる範囲での監視を怠らず、見つけたら削除するなどして、そういう管理行為の結果を残しておいて、故意に放置する意図がないことを説明できるようにしておく必要があるでしょう」
奥村弁護士はこのように述べていた。