退職パッケージ交渉・退職勧奨対応に注力〜インハウスローヤー経験を活かしビジネスマン視点で支援
インハウスローヤーを経て事務所を開設
ーー弁護士を目指したきっかけを教えてください。
明確な理由があったわけではないのですが、東京大学に進学したことが大きなきっかけになりました。2年生の頃、周りの学生が司法試験予備校に通い始めるのを見て、私もやってみようかなという軽い気持ちで勉強を始めたんです。
はじめは旧司法試験を受験しましたが、合格への道のりは険しく、26歳のときにロースクールに進学することを決めました。この決断は、30歳近くまで無職が確定することを意味しました。同級生の多くはすでに就職して社会に出ていたため、焦りも感じましたが、それでも挑戦する価値があると信じました。
ロースクールに進学してからは、スムーズに弁護士への道を進むことができました。合格までに時間はかかりましたが、その間に経験した挫折や苦労は、今となっては貴重な糧となっています。これらの経験が、苦境に立たされている依頼者の立場で物事を考える力を養ってくれたと思います。
ーー弁護士登録をしてから現在までのキャリア形成を教えてください。
学生時代から知的財産法に興味を持っていたため、弁護士登録後はエンターテインメント分野の知的財産権を扱う法律事務所に入所しました。専門性の高い分野での経験は非常に貴重でしたが、経験の浅いうちに1つの分野に特化すると弁護士としての提供価値の最大値が低下してしまうと感じ、より幅広い法律分野に挑戦するため、事務所を移籍しようと決めました。
次に入所した事務所は、より広く企業法務を取り扱う事務所でした。特にコンプライアンス関連に強みを持つ事務所で、多くの経験を積むことができました。その後、企業の意思決定の仕組みやビジネスの運営方法をもっと深く知りたいと考え、インハウスローヤーとして大手の建築資材メーカーに就職しました。
そこでは、当初契約法務の一担当者として入社したのですが、4年半で部長クラスまで昇進することができました。この経験は非常に貴重で、成長を遂げることができましたが、さらなるキャリアアップを求めて、大手よりも裁量を持てるベンチャー企業へ転職しました。
ベンチャー企業では、企業の法務機能全般を担うことで、より多くの経験を積むことができました。そして、ベンチャー企業での経験から、自分自身でビジネスを展開したいという気持ちが強まり、事務所を立ち上げる決意をしました。
退職勧奨に対応するための専門サービス
ーー注力分野を教えてください。
企業法務と労働問題に注力しています。
弁護士歴15年のうち約10年をインハウスローヤーとして過ごしました。契約書の作成、確認、交渉や法律相談対応といった基本的な業務から、訴訟対応、M&Aの支援、法務組織のマネジメントやリスク管理等の経営課題の解決支援まで、幅広い経験を積むことができました。最近ではAIなどをよく取り扱っています。
このように企業法務を扱ってきて避けられないことは、企業の中でも、不当解雇や不正経理などの違法行為が行われる場合があるということです。そのような行為に対して、本当に会社の行為やそのことへの対応が正しいのかという課題感を常に抱きつつ、公平な立場でアドバイスを行ってきました。
企業の内部でも、法務やコンプライアンスに関して、さまざまな意見の対立があります。法務部門は基本的に違法行為を止める立場で動いていますが、企業内の複雑な利害関係や意思決定の過程では、それが必ずしも簡単というわけではありません。部門間の力学が作用した結果、残念ながら問題点が棚上げにされる「政治的解決」がなされてしまうこともなかったとは言えません。
外部の弁護士としての私の役目は、こうした企業の行為を外部から適切に指摘し、改善を促すことです。企業法務の経験を活かして、企業内部の動きを理解し、適切なアドバイスを提供することで、法的に健全な経営をサポートしていきたいと考えています。
ーー労働問題に注力しようと思ったのはなぜですか。
独立を決めたときに、これまでの経験から最もバリューを提供できるのが労働問題だと思ったからです。労働問題の中でも特に、退職勧奨への対応は必ず取り組むべき問題だと感じました。
労働契約法の規定により、従業員の解雇には厳しいハードルが設けられています。そのため、企業は従業員に解雇を言い渡す代わりに、「あなたはここでは活躍できない、もっと活躍できる会社に行ったらどうか」と退職を勧めることがあります。
違法すれすれのプレッシャーをかけ、精神的に追い詰めることも少なくありません。例えば、「自分で辞めると言えば転職活動する間の給与を補償するが、言わなければ解雇する」といった圧力がかけられることがあります。
このような状況に対して無防備でいるのではなく、労働者は働き続ける権利や一定の補償を受け取る権利を主張すべきです。私は、企業の陰湿ないじめのような退職勧奨に対してNOを言い、弁護士が間に入ることで公正な対応を求めることが重要だと考えています。
退職勧奨は任意の話として合法と見なされることが多いですが、その背後には多くの問題が隠れています。労働者が適切な補償を受けられるように支援し、企業の不当な行為を止めることが私の役目です。
退職勧奨に関しては、多くの人が、弁護士に頼むべき内容だと気づいていません。そこで、「キャリアディフェンダー」というサービス名で、労働者の資産とキャリアと名誉を守るための支援をしています。
ーーキャリアディフェンダーについて詳しく教えてください。
「キャリアディフェンダー」は、退職勧奨に対応するための専門サービスです。企業からの不当な扱いをなくしたいという思いから立ち上げました 。
退職勧奨は、多くの人にとって生活の糧としている勤務先からの給与がなくなることを意味するものであり、まずもってその経済的な打撃が甚大です。基本的なことですが、経済的な意味で泣き寝入りをしないこと、それをまず第一に考えています。
また、それだけではなく、ビジネスマンとしてのキャリアの継続性や名誉にも深刻な影響を与えることがあります。退職勧奨を受けることでプライドが傷つけられるだけでなく、今まで築き上げた地位を失うことや、収入が減少するリスクも伴います。こうした労働者側の不安や悩みを解消し、お金とキャリアの両面で最良の解決策を提供することを目指しています。
会社との退職に関するトラブルは、精神的な負荷が高いものであるため、ご依頼者様のご要望に沿う解決である限り、解決は早ければ早いほど良いと考え、迅速対応を心がけています。
私自身が会社員としての経験を持つことから、ご依頼者様の立場や気持ちを十分に理解しています。ビジネスマンとしての視点から最適な解決策を提案できるのが私の強みです。
ーー退職勧奨にはどのように対応するのですか。
退職勧奨への対応に関しては、窓口を弁護士に移すことが重要です。これには3つの大きなメリットがあります。
1つは、退職条件の交渉です。従業員が単独で交渉する場合、会社に比べて立場が弱いため、自分の希望する条件を主張することが難しい場合があります。しかし、弁護士が介入すれば、会社も訴訟などのさらなるトラブルになることを嫌がるので、より有利な条件で退職できる可能性が高まります。
私は、インハウスロイヤーとしての経験を活かし、会社がここでこの話を出されると嫌だろうなあ、という点をうまく突いてなるべく良い条件を引き出せるように、戦略的に交渉しています。
もう1つのメリットは、会社から嫌がらせをされているときに、それを止められる、というものです。弁護士がついていれば、ご依頼者様がさらなる嫌がらせをされないように会社を積極的にけん制することができます。
最後のメリットは、ストレスや不安から解放されることです。複雑な交渉や対応はすべて弁護士が代行しますので、ご依頼者様は弁護士のアドバイスに従い、適切な行動を取ることができます。また、弁護士が窓口となることで、ご依頼者様は会社に対して「この件については弁護士に相談しています」と明確に伝えることができ、安心感を持って対応できます。
私は、インハウスロイヤーとしての経験を活かし、ご依頼者様がストレスフリーでコミュニケーションができるように的確に事情を把握し、相談しやすい弁護士となるよう心がけております。
このように、退職勧奨の相談を受けた場合、弁護士が窓口となることで、より良い条件での退職交渉が可能になり、ご依頼者様の負担を軽減することができます。
ルールを守りつつ、依頼者の事情を最大限に考慮する
ーー仕事をするうえで心がけていることを教えてください。
法律の仕事は、ルールに基づいて正しい判断を行うことが求められます。私が重視しているのは、ルールを曲げて不正を行おうとする人に対しては、断固として許さないというスタンスです。
同時に、ご依頼者様それぞれの事情にも配慮します。早期の解決を望む方、時間をかけても納得のいく結果を求める方など、ご依頼者様のニーズは多岐にわたります。ご依頼者様が次のステップに向けて前向きに進めるよう、適切なサポートを提供することが重要です。
常にルールを守りつつ、ご依頼者様の個別の事情を最大限に考慮し、最良の解決策を提案することに努めています。
ーー趣味や休日の過ごし方を教えてください。
独立して事務所を立ち上げてからは、休日も仕事をすることが多いです。他には、読書やネットでの情報収集を楽しみ、法律だけでなくビジネスや他の分野についても学んでいます。知的好奇心を刺激するような本やYouTubeの動画を通じて、新しい情報を得る時間を大切にしています。
また、定期的にジムに通って体を動かすようにしています。健康は仕事を続ける上での資本であり、体調を崩してしまうとご依頼者様にも迷惑をかけてしまうため、健康管理には気を遣っています。
ーー今後の展望としてどのようなことをお考えですか。
まず「キャリアディフェンダー」サービスを発展させたいと考えています。社会には退職勧奨に対する適切な対応が求められているため、より多くの人にこのサービスを知ってもらい、利用してもらえるように、積極的な認知活動を行っていくつもりです。
また、企業法務についても、信頼を積み重ねながらコツコツと取り組んでいきたいと考えています。まずは確実に一つひとつの案件に真摯に向き合い、着実な成果を上げることが重要だと思っています。
ーー最後に、法律トラブルを抱えている方へメッセージをお願いします。
法律トラブルや退職勧奨の過程で、心が傷ついて、会社の言いなりになってしまいそうになることもあるかもしれませんが、それに負けてしまうのは勿体ないです。
企業側があなたの心を折ろうとしてぶつけてくる言葉を真に受ける必要はありません。これまで積み上げてきた努力と成果を信じて、自分自身が輝ける場所を見つけるために、しっかりと行動しましょう。
弁護士として、皆さんが前向きに進んでいけるように全力でサポートいたします。共に解決策を見つけ、明るい未来を手に入れましょう。