不動産・建築の解決事例
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隣接所有者の不当な二項道路廃道要求により新築建物が違法建築となる危機。行政折衝と非定型的な民事調停の活用により、買収から登記までワンストップで解決した事例

この事例の依頼主 年齢・性別 非公開

相談前の状況 依頼者(法人)は、自社が所有する土地において、老朽化した建物の建て替え工事を進めていました。旧建物の解体工事に際し、隣接する土地の所有者(法人)に対し、両者の敷地境界にある「二項道路(建築基準法第42条第2項に規定されるみなし道路)」の一時使用を申し入れました。
ところが、相手方はこの申し入れに対し、突如として当該2項道路の指定取消(廃道)を行政に単独で申請すると主張してきました
。依頼者の新築予定の建物は、この二項道路が存在することを前提に設計されており、仮に廃道が認められてしまうと、接道義務の要件が変わり新しい建物が建築基準法違反(違法建築物)となってしまう深刻なリスクがありました。もし違法建築物となれば、予定していた新規事業や第三者への売却、金融機関からの融資に甚大な支障を来すことになります。
依頼者はトラブルを未然に防ぐため、当該道路部分の土地を買い取る旨の提案を行いました。しかし、相手方は当初およそ市場価格とかけ離れた法外な金額を要求してきました。その後、相手方から減額提示があり、依頼者も増額での買取を打診するなど交渉を重ねましたが、価格面での折り合いがつかず、最終的に相手方が司法の判断を仰ぐ意向を示したため、当事者間での直接協議は完全に決裂してしまいました。

解決への流れ 当事務所は、まず、相手方による一方的な廃道申請を阻止するため、管轄行政庁の担当者と複数回にわたる面談・ヒアリングを実施しました。過去の経緯や現状を詳細に説明し、相手方単独の申請を受理しないよう行政側に申し入れを行うとともに、万が一申請があった場合には直ちに通知を受ける関係性を構築し、予期せぬ行政処分による不測の事態を防ぐ手立てを講じました。
その上で、膠着状態を打破するため、管轄裁判所に宅地調停を申し立てました。本件は法的な権利関係の存否を争うというより「いくらで買い取るか」という条件交渉の色彩が強く、民事調停としては非定型的な申立てでした。実際、当初は調停委員から「争点がない」と難色を示される場面もありましたが、当方は事案の特殊性と早期解決の必要性を粘り強く説明し、裁判所の関与のもとで相手方との金額調整を進めました。その結果、依頼者が対象土地を適正額で買い取るという現実的な条件で合意(調停成立)に至ることができました。
本件は調停成立で終わりではありませんでした。合意内容を実現するためには、対象となる相手方所有の3筆の土地から道路部分をそれぞれ測量・分筆し、さらに1筆に合筆した上で所有権を移転するという複雑な手続きが必要でした。当事務所は、測量士や司法書士の選定・手配から、現地での境界確認作業の立会い、売買契約書の作成、相手方の根抵当権の抹消、そして最終的な代金決済と所有権移転登記の完了に至るまで、全ての手続を主導しワンストップでサポートしました。これにより、依頼者は無事に土地を取得し、新築建物の適法性を完全に担保することができました。

平山 友喜 弁護士 平山 友喜 弁護士からのコメント 本件は、隣接地の所有者から「二項道路の廃止」という不動産開発において致命傷となり得る手段をちらつかされ、法外な金銭を要求されたという非常に難易度の高い事案でした。客観的に見て特色的な点は以下の4点に集約されます。
第一に、行政庁との密な連携です。一度でも行政処分(道路指定の取消し)が下されてしまうと、その取消訴訟等で莫大な時間と費用がかかります。これを未然に防ぐため、事前に行政庁へ入念なヒアリングと折衝を行い、行政側の見解を確認して相手方の動きを牽制したことが、その後の交渉の強力な防波堤となりました。
第二に、民事調停の戦略的活用です。本来、調停は権利義務の争いを解決する場ですが、本件のように純粋な「価格交渉」に近い非定型的なケースであっても、裁判所という公的な場に相手方を引きずり出すことで、相手方の非現実的な要求(5億円超)を牽制し、適正な水準での合意に引き下げることに成功しました。
第三に、紛争解決から登記・決済までのワンストップ対応です。本件では、正確な測量に基づく複雑な分筆・合筆登記、それに伴う金融機関の担保(根抵当権)抹消手続きなど、実務的なハードルが多数存在しました。弁護士が単なる「調停の成立」にとどまらず、測量士や司法書士等の専門家チームを編成・指揮し、決済手続の完了まで伴走したことで、合意の頓挫を防ぎ、確実な権利取得を実現しました。
第四に、依頼者のビジネスの防衛です。もし本件が長期化し、完成した新築建物が違法建築物の扱いを受けていれば、テナント誘致や資金調達に致命的な影響が出ていました。法的観点だけでなく、依頼者の事業計画という時間的制約を見据え、多角的なアプローチで迅速かつ確実な解決を導き出せたことは、本件の最大の成果といえます。

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